FC町田ゼルビアの10番を背負うナ・サンホがFC東京とのダービーマッチを前にインタビューに応じた。古巣への感謝の思いを語るとともに、「可能性のある限り全力で戦う」とタイトル獲得へも強い意欲を口にした。国立競技場でチームに『歴史的な初勝利』をもたらすことができるか?

上写真=国立競技場での初勝利に向けて強い思いを語った町田の10番、ナ・サンホ(写真◎J.LEAGUE)

予想外のケガで「もどかしかった」

ーー今季、ここまでの戦いを振り返って。

ナ・サンホ Jリーグの舞台に再び戻ってきて「やってやる!」という気持ちでシーズンに入りました。でも、予想外のことが起こってしまいました。ケガです。これまでの自分のサッカー人生を思い返しても、ここまでケガに苦しめられたシーズンはありません。ピッチに立てない間は、もっとやらなければいけないという思いが湧いてきて、もどかしかった。

ーー今季はここまで24試合で3ゴール。それほど悪い数字とも思えませんが、期待に応えられていないという思いが強いのでしょうか。

ナ・サンホ そうですね。正直、ここまでの自分のプレーにもどかしさを感じています。

ーー開幕戦でケガをして、天皇杯の2回戦(6月12日)でもケガをしてピッチを離れる時間は確かにありましたが、その中でも要所で存在感を示してきたように見えます。

ナ・サンホ チームが上位を争いをする中で試合に出られないのはやっぱり苦しいものです。サッカー選手はプレーしてナンボだと思いますし、ピッチに立たないことには自分の責任を果たせない。それがもどかしさを感じている理由です。

ーーリーグ戦の開幕前に、ゴールとアシストでふたケタの数字を残したいと話していました。数字的な面も不満があると?

ナ・サンホ 攻撃の選手なので求められるのは当然、ゴールとアシストです。3ゴール、2アシストという数字はやはり物足りない。もちろん、目に見える数字以外の部分でもグループとして勝利に向かう役割を果たしながら、チームとして戦うことは大事です。ただ両方ができて初めて貢献したと言えるのだと自分は思っています。

ーーリーグ戦で記録した3つのゴールについては、いずれもナ・サンホ選手らしいスキルフルで印象的なものでした。

ナ・サンホ 自分でもゴール自体は、自分自身のストロングが出たと思っています。それでも、ゴールの匂いを嗅ぎ分ける力について言えば、まだまだ。もっと向上する余地があると思っていて、ボールを持っていないときのポジショニングを改善したい。それが今の自分自身の今の課題だと認識しています。

ーー話を聞いていてもまっすぐにサッカーに向き合っていることが伝わってきます。昔から「まっすぐな性格」だったのでしょうか。

ナ・サンホ どうでしょう(笑)。ただ、自分自身のこだわりとして、常に自分の課題を見つめ、自分がやるべきことを着実にやることにフォーカスしています。これまで常にそうやって取り組んできました。

ーー移籍後初ゴールになった前回のFC東京戦のゴールは角度のないところが振り抜いて決めた素晴らしい一発でした。88年EURO決勝、オランダのファンバステンが決めたような華麗なゴール。

ナ・サンホ あれはチームとしてしっかり作り込んだ形というか、相手を分析した中で決まったゴールでした。自分自身、ボレーシュートはストロングの一つだと認識しているので、しっかり振り抜けました。仙頭啓矢選手からいいボールが来ましたし、タイミング的にも完璧だったので自信を持ってシュートを打つだけでした。すべてが噛み合ったと言えるでしょうね。

ーー相手が古巣のFC東京だったことで、移籍後初ゴールながら喜びを表現するのが難しい面もあったのでは?

ナ・サンホ FC東京のファン・サポーターの方々には、在籍時にすごく応援をしていただきました。前回の試合は、もちろん自分が所属しているFC町田ゼルビアのために全力を尽くすのですが、その中でかつての自分を知るFC東京のサポーターの方々にも、自分の成長や良いプレーを見てほしいという思いもありました。試合なので勝敗は分かれるのですが、そういう気持ちはありました。

ーー町田が2−1で勝利を収めたあと、FC東京サポーターのいるスタンドへ挨拶に行きました。

ナ・サンホ 名前をコールしてもらい、拍手してもらって、とてもうれしい気持ちになりました。本当に感謝しています。自分自身、東京時代はそんなに多くのゴールを決められたわけではないですが、ゴールを決めた後にサポーターの方々と喜びを共有した瞬間のことは忘れていません。それは自分にとってとても良い思い出です。