今季限りでの現役引退を発表したサンフレッチェ広島MF青山敏弘が、10月21日に広島市内のホテルで引退会見を行なった。2004年に加入してから今季までの21年間を広島一筋で戦い抜き、数々のタイトル獲得に貢献。ファン・サポーターに愛された紫のバンディエラが、引退を決意した理由や現役時代の思い出、今後の抱負などを語った。

引退後は「監督として日本一になりたい」

 21年間で最も印象に残っていることには、2012年のJ1初優勝を挙げた。「それまで、J2に降格しましたし、ケガもたくさんしてきましたけど、そのたびに自分自身が強くなって、はい上がってきました。選手が一人ずつ(移籍で)抜けていく中でも、クラブと一緒になってはい上がってきた、成長していったと思っているので、その形が優勝というものになったのは、本当にうれしかったです」と振り返った。

 これぞ青山敏弘、というナンバーワンプレーを挙げるなら、という質問には、満面の笑みとともに、まさしく、これぞ青山敏弘という答えが飛び出した。

「ファンサービスかな」

 練習場でのファンサービスで一人ひとりと会話しながら、ていねいにやり取りする青山の対応は、ファン・サポーターの間では『神対応』として知られる。何とも粋な答えに続けて、こんな思いを語った。

「ファン・サポーターの皆さんとのふれあいがあって初めて、応援してもらえる。同じ目線で戦っていけたことが、一番大きかったと思う。僕のパワーになっていたし、あの関係性が、僕の成功の一番の秘訣じゃないかと思っている」

 引退後のセカンドキャリアについて聞かれると「ピッチの上で戦い続けたいですね。このクラブで、指導者として、監督として、日本一になりたい。それが次の夢になるんじゃないかと思っています」ときっぱり。さらにファン・サポーターに向けて「本当に長い間、良い関係を築けたと思っています。どんな結果以上に、ファン・サポーターとの絆は大きいと思っている。それを築けたのが僕にとって、プロサッカー選手としての成功じゃないかと思っているので、皆さんに感謝したいと思います」とメッセージを送った。

 明治安田J1リーグは残り4試合で首位に立っており、優勝でキャリアを締めくくることができるか。残りのシーズンに向けて「まだ終わっていない。ファイティングポーズを取り続けているし、スキあらば若い選手からポジションを取ってやりたい」と意気込みを語り、「それが最後までできると信じて走り続けますし、最後にそれが結果に結びつくと信じて、最後の最後まで、この紫の6番は戦い続けます。見ていてください」と表情を引き締めた。

取材・写真◎石倉利英