上写真＝俵積田晃太と荒木遼太郎が逆転ゴールに抱き合う。2人の躍動がチームを勢いづけた（写真◎J.LEAGUE）
■2024年9月28日 J1第32節（＠日産ス／観衆28,601人）
横浜FM 1-3 FC東京
得点：（横）アンデルソン・ロペス
（F）岡 哲平、俵積田晃太、仲川輝人
「考えていたことを考えずにできる」異能の勝利
「タワラなら2人を置き去りにできるだろうなって思って、スペースに流してあげました」
と、荒木遼太郎。
「スピード乗った状態で、本当にドンピシャでパスが来たので、出してくれたタロウにも、チームのみんなにも感謝したいです」
こちらは、俵積田晃太。
FC東京は60分、ものの見事にカウンターから仕留めた。荒木が左足で繰り出した絶妙のスルーパスで俵積田が抜け出すと、松原健と畠中槙之輔を軽やかに振り切って、4タッチ目の左足シュートでGKポープ・ウィリアムの股下を射抜いた逆転ゴールだ。
「適当に打ったら入った感じです」と俵積田は笑わせたが、こういう真意がある。
「いい感じに何も考えずにできました。自分のいいときは頭がフレッシュで何も考えてないときで、考えていたことを自然に考えずにできるのがいいところ。それが出ました」
荒木のスルーパスに至るまでの流れも見事だった。きっかけも、その荒木。
エウベルが中盤でもたつくのを見逃さずに、背後から鋭くプレスバックして鮮やかに奪った。東慶悟が高宇洋につなぎ、前のディエゴ・オリヴェイラへ。落としたボールを荒木がスルーパス、という一連のプレーはすべてワンタッチ。
荒木の強奪から俵積田がゴールに送り込むまで、わずか11秒の早業だった。
荒木はこの守備での貢献を喜ぶ。
「今日は前半からチャンスはあったんですけど、なかなか決められなくて、他のところでもチームに貢献しなきゃなと思っていて。守備のところでボールを取ってからアシストにつなげられたのはよかったです」
そんなチームメートの躍動に目を細めるのが、絶好調の東である。自身が先発に戻ってきてからの3試合はすべて勝利を収めている。
「みんな伸び伸びと楽しそうにしていて、それが戻ってきて僕も今日はすごく楽しかった。楽しいって表現は難しいですけど、見ている人が興奮するような、熱くなるようなプレーをね」
振り返ると、同点弾は右サイドで猛然と走り抜けた長友佑都に東慶悟がきれいに送り届けてから折り返すというベテランの妙味で崩し、最後は左サイドバックにコンバートされてわずか3試合目の岡哲平が決めたもの。逆転弾は俵積田で、ダメ押しの3点目は中村帆高のインターセプトから野澤零温が折り返していて、途中から入った2人で作ったチャンスを、最後は仲川輝人が古巣を相手に押し込んでいる。
さまざまなストーリーに彩られた3ゴールは、間違いなくこのチームのラストスパートのパワーになる。