上位争いを続けるFC町田ゼルビアを相手に、アルビレックス新潟は第28節、ホームのデンカビッグスワンスタジアムでシーズンダブルを狙った。しかし試合は、今シーズン初のスコアレスドローで終了。ただ、経験豊富なFW鈴木孝司は、ルヴァンカップで再び連戦を戦う古巣をいかに攻略するか、そのためのヒントをつかんでいた。

上写真=9月4日、8日のルヴァンカップ準々決勝に向けて闘志を燃やす新潟の鈴木孝司(写真◎J.LEAGUE)

『古巣』相手にどんな戦いを見せるか?

 さまざまな駆け引きと技術を駆使してチャンスメークに関わり、自ら決めに行く。第28節・町田戦で古巣相手に先発フル出場した35歳の鈴木孝司は、“サッカー賢者”ぶりを存分に発揮し、ゴールを目指し続けた。だが、結果は今季初めてのスコアレスドロー。J1に初昇格したシーズンに優勝争いしている町田の力を実感する90分にもなった。

「ボールの回し方、仕掛けなど、もう少し相手ゴールに向かってプレーしても良かったかな、と思います。町田はセンターバックとボランチの4人でどう守るかというところが非常に明確で、規律を持ってプレーしていましたね」

 町田の失点20はリーグ最少(28節時点)。堅い守りをこじ開けるには至らなかった。だが、その方法が徐々にはっきりしていったのも事実だ。

 彼らが、どのようにプレッシャーを掛けてくるのか。それを感じ取り、『こうすれば、もっとボールが回りそう』という部分は、試合が始まって早い段階で見えたという。それをチームメートと共有するために、盛んにコミュニケーションを取る。いつもの姿が、この日のホーム、ビッグスワンのピッチにもあった。前半の飲水タイムには、松橋力蔵監督からマンツーマンで意見を交換。ボールをどこで受けるのが効果的か、あるいはスペースのでき方について改めて状況が整理され、自身の動きの調整、修正がなされた。

「チームの決定機はそれほど多くなく、もう少しゴール前に人数を掛けたかったと試合が終わって感じました。守備に関しては全員でよくやれましたが、相手のセンターバックにダメージを与えるために、守備に加えて攻撃でも強度を出していきたかった。点を取れないと試合には勝てないですからね」

 見えたポイントの改善に日々のトレーニングで取り組み、どれだけ成長できるか。それは、すぐに問うことができる。ルヴァンカップ・プライムラウンド準々決勝で、再び町田との2連戦が控えているからだ。

 アウェーで今季最初の対戦は3-1で勝利。シーズンダブルを狙った28節は引き分けに終わった。守備やビルドアップへの関わりでも抜群の貢献を見せるFWは、次こそゴールと勝利をたぐり寄せようと闘志を燃やしている。

「ルヴァンカップの前に、リーグの名古屋戦がすぐあります(※編集部注・台風10号の影響により8月31日から9月18日の開催にの日程が変更された)。まずはしっかりそこで戦わなければならないし、その先のことは、今は見ていません。ただ今回、町田と対戦して、相手が新潟を相当リスペクトしてくれているのを感じました。それだけ僕たちのサッカーにやりづらさを感じている感触があります。今回出た課題をしっかり改善できれば、自ずとゴールも生まれるはずです」

 反省材料とすること以上に、攻め崩すためのより良いアイディアが湧いてきて、再戦が楽しみで仕方ないという表情を浮かべていた。

取材・文◎大中祐二