今年、1年前倒しで正式にプロ契約を交わした安斎颯馬が、FC東京で右サイドの代名詞になりつつある。ひたむきに走り、黒子役に徹する一方でしっかりゴールを狙う姿勢が心を打つのか、シーズン中に専用チャントを歌われるようになったほど、スタンドの支持も熱い。青森山田高時代からの盟友である松木玖生が欧州へと旅立ったが、その不在を感じさせないように自身がチームを引っ張る覚悟はできている。同じ味の素スタジアムを本拠とするライバル、東京ヴェルディとの一戦(8月17日)を前に、次代の青赤を担う若者に話を聞いた。

玖生がいなくても戦えると証明していく

盟友の海外移籍を刺激にチームで全体的な存在になると安斎は誓う(写真◎J.LEAGUE)

──広大なピッチの全域をカバーし、精神的支柱ともなっていた松木選手が、不在となりましたが……。

安斎 もちろん、玖生が抜けた穴というものはあると思います。玖生自身がこの東京で築き上げたプレーというものがあり、あの年齢でキャプテンをやっていたことも素晴らしいこと。ただ、そうは言っても今はシーズン中で、玖生がいなくても僕たちは戦えるということを証明しないといけない。今いるメンバーで玖生が抜けた穴を感じさせない、彼がいた頃を上回る力を自分たちがピッチで見せないといけないと思う。玖生には頑張ってほしいですし、自分たちは自分たちでやるべきことがあって、今いる選手で強いチームを作らないといけないと思います。

──もともと安斎選手をはじめ選手のみなさんには東京を強くしていかなければという強い思いがあったと思いますが、より自分がやらなければという責任感も強くなったのでは?

安斎 これだけの試合に出させてもらっていますし(※リーグ戦26試合中22試合)、そういう責任感は日々強まっています。もっともっと、自分自身も引っ張る姿勢を見せないといけない。もちろん、引っ張るにも色んな形があると思うので、自分なりの姿勢を示していきたい。

──その点で言うと、休まず連続して次のプレーに向かうという、東京が大事にしている部分を表現し、プレー面でも引っ張る存在になっていると感じますが、そうした意識や周囲の期待感をどう感じますか。

安斎 自分はキャンプからチームのコンセプトを踏まえてそういうことを欠かさずやろうと思って実践してきました。やり続けることが、自分の思う大切なことでもあります。今シーズンの前半戦はクロスに入り続けてもなかなかボールが合わなかったり、自分が決めきれなかったりしましたが、それでも入り続けたことによって 札幌戦のゴール(※第20節、1-0の決勝点)も生まれました。やり続けることが大事で、やり続ければ必ず成功する瞬間が来るので、そこは変わらずやっていきたいと思います。

──そういう姿勢は、ファン・サポーターにも感じてほしいところなのでは?

安斎 ファン・サポーターも選手も勝ちたい思いは一緒ですし、自分たちが戦えなくなったら終わりだと思っています。応援してくれる人たちの期待に応えるのも自分たち選手の仕事。ファン・サポーターも選手も、ピーター監督がいつも言っている通り東京のファミリーで、そこがバラけてしまっては何の意味もない。全員が一つになって戦うことが大事だと思います。タイトル以外の部分でも、例えば1つでも上の順位を目指していくことや、戦いの内容そのものも求められると思っています。選手とファン・サポーターが一丸となって、求め続け、戦い続けることはこれからも重要だと思います。

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