明治安田J1リーグは第24節を終えたところで、中断期間に入った。首位はFC町田ゼルビア。7月20日に戦った横浜F・マリノス戦は1-2で敗れたものの、2位のガンバ大阪も湘南ベルマーレに敗れたため、勝ち点5差は変わらずだ。過去5年、残り14試合の時点でのこの差をひっくり返されたチームはないが…?

上写真=町田はミッチェル・デューク(中)が1点を返したものの、横浜FMに敗れた。それでも5ポイント差の首位はキープした(写真◎J.LEAGUE)

■2024年7月20日 J1リーグ第24節(@国立/観衆46,401人)
町田 1-2 横浜FM
得点:(町)ミッチェル・デューク
   (横)アンデルソン・ロペス、天野 純

ここ5年で「逆転V」は2度あるが…

 J2から昇格して初めて戦う日本最高峰のステージで、FC町田ゼルビアが24試合で49ポイントを稼いで、トップランカーとなっている。

 続くのはガンバ大阪と鹿島アントラーズ。こちらは44ポイントを手にして5差で追いかける。

 町田は7月20日の第24節で、横浜F・マリノスに1-2で敗れて7試合ぶりの黒星を喫している。前半、相手に持っていかれたリズムを取り返せずに、2失点。リーグ戦で前半だけで2点のリードを奪われるのは、初めてのことだった。

「45分、守備ばっかりしていたな、という感じです」

 センターバックのキャプテン、昌子源は劣勢をそう感じていた。前節の東京ヴェルディ戦では6分にオウンゴールで手にしたリードを守り切り、1-0の勝利。「1点で十分」と話した黒田剛監督が「勝利の方程式」と胸を張っていた。しかし、先に失点しては方程式も成り立たなくなる。

 30.8度と60%という高温多湿の影響もあって足が重く、横浜FMの技術をパワーで阻止できなかった。「効率的ではなかった」とは昌子の感触。

「マリノスははがすのがうまいチームですけど、もう少しで取れそうっていうところで取れなかったり、そういうところは相手が一枚上手で、どうしても下がらざるを得ない展開になったと思います」

 強く守って速く攻めるという自分たちの戦いに引き込むことができなかった、という分析である。85分にミッチェル・デュークが決めたものの、そこまで。

 それでも、追いかけてくるガンバ大阪がお付き合いするように湘南ベルマーレに0-1で敗れた。悪運も味方についていると言うべきか、2位と勝ち点5の差を詰められることはなかった。

 20チームで争う全38節のうち、残りは14試合。カウントダウンにはまだ早いが、ここで約2週間の中断に入る。過去5年のJ1を振り返ってみると、この時点で首位を走っていたチームが優勝したのは3度ある。2022年の横浜F・マリノス、21年と20年の川崎フロンターレだ。

 逆に言えば、2度は「逆転V」が成立している。

 昨年の優勝チーム、ヴィッセル神戸はこの時点(18チームで争う全34節のうちの20試合終了時点)で、消化試合が1試合少ない状態で勝ち点40で、43で首位の横浜FMに続いていた。もう一つは19年の横浜FMで、42ポイントで首位を走るFC東京を39ポイントで追いかけていて、いずれも最終的にこの3ポイントの差を引っくり返して凱歌をあげている。

 ということはつまり、残り14試合の時点で、3ポイントよりも多く引き離されたチームが逆転優勝したケースは、この5年では存在しないということになる。

 そしていま、町田はG大阪と鹿島を5ポイント差で引き離している。ならば……。

 これはもちろん、単なる数字遊びでしかない。だから、「残り14試合で5ポイント」という距離は大きくはないのかもしれないけれど、意外と小さくもない、と言えるかもしれない。

 昌子はこの日の負けにも前向きだ。

「勝ち点8差に広げられれば理想的で、悪くても5差のままで、というのが現実的。今日は交代で出た選手がもう一度、チームを生き返らせてくれて、そういうポジティブなところをプラスに変えていきたい」

 J1は7月21日のサガン鳥栖対サンフレッチェ広島戦を終えると、約2週間の中断期間を挟む。猛暑の夏から秋へと、このまま町田が走り抜けるのか、それとも鮮やかな逆転劇が見られるのか。8月7日から再び熱い戦いが始まる。