7月20日の明治安田J1リーグ第24節で、FC町田ゼルビアが東京・国立競技場に横浜F・マリノスを迎えた。2位に5ポイント差をつけて首位を走る町田に対し、横浜FMはハリー・キューウェル監督の契約を解除して、ヘッドコーチだったジョン・ハッチンソンが暫定的に指揮を執る一戦。夏の中断前のラストマッチは、横浜FMが町田に2-1で競り勝って連勝を手にした。

上写真=追加点を挙げた天野純(中央)を中心に喜びの輪。横浜FMが見事な崩しで勝利を手にした(写真◎J.LEAGUE)

■2024年7月20日 J1リーグ第24節(@国立/観衆46,401人)
町田 1-2 横浜FM
得点:(町)ミッチェル・デューク
   (横)アンデルソン・ロペス、天野 純

町田は終盤に追い上げたが…

 FC町田ゼルビアも横浜F・マリノスも、奪ったゴールはいずれも持ち味を出したものだった。

 まずは横浜FM。2つのカットインが先制ゴールにつながった。

 右ウイングのヤン・マテウスが斜めに切り裂いて中へ、左に振って、今度はエウベルが中に切り込むと、右足でシュート。これが相手のハンドを誘ってPKを獲得した。33分、アンデルソン・ロペスがじっくりと駆け引きしてGK谷晃生を先に倒し、逆の右に難なく蹴り込んだ。

 気温30.8度、湿度60%と厳しいコンディションで、町田の選手たちの足がなかなか動かない。珍しくスペースを明け渡し、横浜FMに面白いようにパスを通されて後手に回っていく。

 ハリー・キューウェル監督と契約を解除して臨んだ横浜FMは、まるで枷が外れたかのように生き生きと戦った。1点目は自慢の両ウイングがドリブルで相手を翻弄したし、43分に生まれた追加点も、本来のこのチームらしい鮮やかな崩しから生まれた。

 中央でゲームをコントロールしていた渡辺皓太から左のエウベルへ、その内側から左ポケットに抜けたのは左サイドバックの加藤蓮だ。うまくボールを隠しながら腰をひねって、センターバックのドレシェビッチと昌子源、そしてGK谷の誰も触れないコースにワンタッチで滑り込ませ、フリーで入ってきた天野純が難なく蹴り込んだ。

 こうして持ち味を発揮した横浜FMに対し、町田がスタイルを押し出したのは後半から。53分には右サイドバックの望月ヘンリー海輝が逆サイドへロングキック、ミッチェル・デュークがヘッドで落として左サイドバックに入った杉岡大暉がクロス、逆サイドに流れたところを後半から右サイドハーフに入ったバスケス・バイロンがカットインから得意の左足を振った。

 そんなシンプルなスタイルの勢いが実ったのは、終盤の85分だ。横浜FMが左からの望月のロングスローを警戒していたため、近くの下田北斗がフリーに。そこに投げると、精度の高いキックをニアに送り、デュークがヘッドで流し込んだ。こちらも得意の形を生かしたゴールになった。

 1点差に詰め寄ってなおもゴールに迫る町田だが、このまま試合は終了。ともに「型」を生かしたようなゴールだったが、横浜FMの方がそれが一つ多かった。町田は7試合ぶりの黒星、横浜FMは3度目の連勝を果たして、中断期間に入る。