7月6日に行われた明治安田J1リーグ第22節で、浦和レッズが湘南ベルマーレを迎えた。16戦無敗の駒場スタジアムでの開催と、浦和にとって相性の良い場所。しかし、荒天のためキックオフが30分遅れた試合は両チームから5ゴールが飛び出す派手なシーソーゲームとなり、最後に湘南が大逆転勝利を収めた。

上写真=ルキアンが終了間際に決めたゴールで湘南が逆転勝利!(写真◎J.LEAGUE)

■2024年7月6日 J1リーグ第22節(@浦和駒場/観衆16,787人)
浦和 2-3 湘南
得点:(浦)チアゴ・サンタナ2
   (湘)田中聡、石井久継、ルキアン

浦和はチアゴ・サンタナの2点で逆転したが…

 派手なゲームの幕開けは、32分だ。山田直輝のパスが裏にこぼれたところに、田中聡がいた。ゴール左から左足を鋭く振ってゴール逆サイドにねじ込む先制ゴール。このシーン、湘南が左サイドから押し込んだところで浦和のクリアが遅れ、田中が寄せて囲んでミスを誘ったところから生まれている。

 中盤の底をオリジナルポジションとする田中が迷わずに前に出て、そのまま足を止めずにさらに裏に抜けていく連続性によって生まれたゴールだった。これが伏線になる。

 浦和は後半から前田直輝を投入して攻撃の厚みを増すと、54分にビッグチャンス。渡邊凌磨が左に展開するカウンターで前田がドリブルで突き進み、左足アウトサイドで中央へ。DFに当たってはねたボールを渡邊がヘッドで狙うが、GKソン・ボムグンに横っ飛びで防がれた。

 続けて59分にチアゴ・サンタナとサミュエル・グスタフソンを投入すると、一気にパワーアップ。直後の62分には結果につながった。グスタフソンの縦パスを安居海斗が収めて左横に流し、渡邉がさらに左前へ、抜け出したチアゴ・サンタナが左足で強烈にGKソン・ボムグンの股下を抜いて、あっという間に同点とした。

 続けて74分、選手交代によって左サイドハーフに回っていた渡邉が、ハーフウェーライン手前から強引にドリブルで中央へ突き進んでど真ん中を割るスルーパス、巧みなタッチで抜け出したチアゴ・サンタナが、またも左足でニアサイドをパワフルに撃ち抜いて、一気に逆転してみせた。チアゴ・サンタナは喜びのあまりユニフォームを脱いで警告を受けたほどだ。

 だが、これは本当の歓喜にはならなかった。

 湘南は90分、左から少ないタッチで素早く崩すと、68分に交代で入っていた石井久継が福田翔生の落としのパスから抜け出して「練習のとおりでした」と迷いなく右足を振り抜き、GK西川周作の手を弾いてゴールに突き刺した。18歳のストライカーのJ1初ゴールで同点に追いついた。

 意気消沈する浦和を尻目に、湘南はなおも攻めた。今度は右サイドから福田が中へ、浦和が下げたラインの手前にできたスペースで田中が受けると、くるりと時計回りにターンして放ったシュートが短く前へ、ルキアンが巧みに浮かせてゴールに流し込んで、大逆転に成功したのだ。

 試合前の猛烈な雷雨と暑さで湿度の高い難しいゲームになったが、それを吹き飛ばす大逆転劇になった。