ヴィッセル神戸GK前川黛也が7月5日の明治安田J1リーグ第22節・サンフレッチェ広島戦の勝利を喜んだ。出身地・広島の新スタジアムのピッチで初めてプレーし、1失点したがチームは連勝。「あこがれ」の一方で悔しい思い出もあるチームに勝利し、連覇への確かな手応えをつかんでいる。

上写真=広島の新スタジアムのピッチに立った前川。チームはアウェーでの上位対決を制して連勝を飾った(写真◎J.LEAGUE)

■2024年7月5日 J1リーグ第22節(@Eピース:観衆25,119人)
広島 1-3 神戸
 得点:(広)新井直人
    (神)大迫勇也、広瀬陸斗、山口蛍

父の和也さんも観戦

 神戸は11分に先制し、17分に一度は追い付かれたが、後半の2得点で突き放して勝利。前川は「複数得点で勝って、自分たちに力があることを証明できている」と語る一方、「得点した後にすぐ失点してしまったのは課題。改善しなければいけない」と指摘。それでも「こうやって上位のチームに勝てたのは大きい」とアウェーでの勝ち点3を評価した。

 出身地である広島の新スタジアム、エディオンピースウイング広島では、6月に日本代表戦が行なわれたが出場機会がなく、今回初めてピッチに。父の和也さんも観戦に訪れていたが、「お父さん以外に、僕の知らないところで友達も来ていると思う。その中でプレーできたのはよかった」と喜んだ。

 中学時代は広島のジュニアユースでプレーしたが、ユースへの昇格はならず、広島皆実高、関西大を経て2017年に神戸でプロになった。「サンフレッチェ広島はあこがれのチームですが、一番苦い思い出があるチームでもある。ジュニアユースのときにセレクションも落ちたりして、反骨心でやってきた」と振り返り、「そういう地で結果を出せたのは自分にとってプラス」と続けた。

 神戸でも定位置をつかむまでに時間を要したものの、昨季は自身初の全試合フルタイム出場でJ1初制覇に貢献し、今季もこの日の勝利で連覇に向けて首位を追撃している。クリムゾンレッドの守護神は「広島のアウェーで勝てている印象がなかったので、こういうところで勝つのは本当にいいこと。続けていきたい」と今後の優勝争いを見据えていた。

取材◎石倉利英