2週間ぶりの再開となった明治安田J1リーグ第18節で6月16日、ヴィッセル神戸と川崎フロンターレが国立競技場で対戦した。ともに真夏のような暑さに苦しめられながらも集中力の高いゲームを展開し、神戸が武藤嘉紀の1点でしのいで勝利を収めた。

上写真=武藤嘉紀が貴重な貴重な決勝点。長いVARチェックの後にボールが認められてクールに喜んだ(写真◎J.LEAGUE)

■2024年6月16日 J1リーグ第18節(@国立/観衆49,541人)
神戸 1-0 川崎F
得点:(神)武藤嘉紀

自分たちらしさを出せたのはどちらか

 気温27.5度で飲水タイムも設けられた炎天下の国立競技場。ホームチームとなるヴィッセル神戸が序盤からスペースにボールを素早く運んで、つまり自分たちの戦い方でリズムをつかんだ。

 数多く生み出していたチャンスがようやく実ったのは、前半も終了が目の前となった43分。左から佐々木大樹が中央に浮き球のパス、大迫勇也がヘッドでつなぎ、受けた武藤嘉紀が落として大迫が右へ、酒井高徳が抜け出してシュートを放つと、逆サイドに抜けて武藤が左足でプッシュした。左から右へ、また左へと素早い展開でゴールを陥れた。

 川崎フロンターレはセカンドボールを拾いきれず、パスもスムーズに動かないまま後手に回る展開。要するに、自分たちの戦いに持ち込めなかった。スタジアムを大きく沸かせたのは26分で、左から進入して最後は脇坂泰斗がシュート、左ポストに阻まれたこのシーンはしかし、直前にオフサイドがあった。

 嫌な流れをハーフタイムで断ち切ろうと、ゼ・ヒカルドを後半キックオフから投入し、橘田健人と中盤のセンターに並べて安定性を担保した。それでも神戸の守備に穴を空けることはできない。59分のビッグチャンスでは、脇坂の左CKを家長昭博がフリーでヘッドで狙うが、ミートしきれずに右に切れた。

 ともに交代選手を投入しながら攻撃にパワーを注いだが、カウンターでチャンスを作ったのは神戸の方。90+1分に大迫勇也がフリーで放った左足シュートはしかし右へ切れ、直後には左からの初瀬亮のセンタリングを井手口陽介がスライディングシュートで狙ったものの上へ。このままスコアは動かず、神戸が川崎Fの反撃のパワーをうまく吸収する形で、1点のリードを保ったまま逃げ切った。

「すべては攻撃のところ」と悔やんだのが川崎Fの鬼木達監督。前半から持ち前のゴールへ向かう姿勢が足りず、「大胆に泥くさい形でやることで生まれるゴールもある」として、失点のことよりも得点への道筋をつけることができなかった反省を強調した。

 10勝目を手に入れた神戸は対象的に「前半から自分たちらしいサッカーができた」と吉田孝行監督。「チャンスをたくさん作るのが自分たちのサッカー」と決定機を多く迎えたことを評価した。ただ「2点目、3点目を狙いにいった」中で1得点に終わった。得点を重ねることを「踏ん張りどころ」とした6月の上位争いのテーマに据えていく。