6月1日の明治安田J1リーグ第17節で、アルビレックス新潟はアウェーで首位のFC町田ゼルビアを3-1で下した。負傷者が続出して苦境が続くチームに、堀米悠斗が復帰した意味は大きい。聡明なキャプテンは現状をどう見据えているのだろうか。

「あまり得点に急ぎすぎることなく」

 小見のゴールは24分に生まれた。自ら右サイドから大胆にドリブルで突破して、冷静に決めきるファインゴールだ。いまでこそ右サイドハーフでの出場だが、堀米がサイドバック、小見がサイドハーフとして、左サイドでコンビネーションを培ってきた関係である。

 そんな「弟分」の今季初ゴールを、ことのほか喜んだ。

「これはでかいっすね。小見と(松田)詠太郎が決めていれば、というゲームがいくつもあった中で、それでも使い続けてくれる監督の期待に応えようとしている2人の姿を見てきました。だからちょっと今日のコミちゃん、すごく吹っ切れたという感じでしたよね」

 攻守にリーダーシップを発揮する姿を見て、感情面だけではなく、冷静なプレー選択ができるようになったとも指摘する。

「開き直って良かったのは、やっぱり自分の身の回りのプレーをまずしっかりやっていたというところ。あまり得点に急ぎすぎることなく、まずは守備。球際の切り替えのところでチームに貢献しながら、こぼれてきたボールをかっさらっていくような、いい感覚をつかめたんじゃないかな」

 この話には前段がある。3月16日の第4節・東京ヴェルディ戦で左サイドでコンビを組んだものの、小見がポジションを離れて中央でプレーする時間が長くなった。そのことについて、メリットとともに課題についても話していた。「もうちょっと自分を含めた周りを見て使いながら中央に入っていけば、もっとよくなる」と。

 それがこの日は、堀米の目にもしっかりと整理できていたと映った。

「マリノス戦(5月15日)の途中で右サイドに移ってから特に、ですけど、最初はウイングとして外の幅を取って、ボールが入ったタイミングで潜り込んでいく、というように、スタートのポジションをしっかりと整理できていましたね。今日、こうして結果が出たので、徐々に徐々にこうやっていけばいいんじゃないかというのを本人の中でつかんでいるんじゃないかな」

 小見の変化は、苦境が続くチームには明るい兆しだ。

「たぶんそれが好きなプレーだと思うんだけど、ある程度ポジションを守っておけば、彼の良さである機動力や球際、狭いスペースでの馬力というところは本当に素晴らしいですからね」

 小見はそれを「自分らしさ」と表現した。それを全員が発揮して組み合わせれば、強くなる。そのきっかけのゲームにしなければならない。

 若手が吹っ切れたのなら、次は経験豊富な自分の番だ。

「6月は試合も多いので、反転攻勢ですね。その最初を取れたのは大きい」

 逆襲の中心に、このキャプテンがいるのは頼もしい。