FC東京の左サイドでまばゆい輝きを放っているのが、俵積田晃太だ。プロ2年目のウイングは試合のたびに対峙する相手を抜き去り、スタンドを沸かせている。5月26日にホームでガンバ大阪戦(第16節)が開催されるが、昨季の同カードで鮮烈なプレーを披露。Jリーグの舞台で存在感を高めつつあるドリブラーに話を聞いた。

三笘選手は今しかないところで仕掛ける

札幌戦で今季初ゴールを決め、試合後にスタンドの声援に応える俵積田(写真◎J.LEAGUE)

――そもそもドリブルが俵積田選手の武器になった理由を教えてください。

俵積田 小さい頃からやってきたからです。元々、4歳離れている兄の影響でサッカーを始めたのですが、兄は足が速くてドリブルもうまくて。よくある、弟が兄に憧れるという感じですけど、それで自分もそういうプレースタイルを目指して、兄を超えるために頑張っていたんです。テレビでサッカーを見るときも、やっぱりドリブラーってすごく目立つじゃないですか。だから自分は小さいときからドリブルをやってきたんじゃないかなと。

――お兄さんとサッカーをやっていた最も古い記憶はいつですか。

俵積田 はっきりはわからないですけど、自分が幼稚園で、兄が小学校のときかなと。当時、兄の試合にも親によく連れていってもらっていて「すごいなあ」と思って。2人でもよく広場でサッカーをしていました。

――その頃から磨き上げてきたのがドリブルなのですね。俵積田選手のドリブルの特徴を説明すると?

俵積田 スピードです。スピードに乗ったときが違いだと思います。ですかね。自分の間合いで仕掛けてスピードに乗れれば、と思ってプレーしています。

――自分の間合いに持っていくためには、相手の研究も必要になりますか。

俵積田 いや、あまり研究はしていないです。実際にプレーする中で感覚的に相手を把握して、自然とやっている感じです。アカデミーの頃から「こうやったら抜けるな」とか、とにかく量をやってきました。このタイミング、間合いで仕掛ければ抜けるというのはプレーしていればわかります。どのドリブラーも同じだと思いますけど、自分から仕掛けていくのがやっぱりやりやすいし、そうするように心がけています。

――プレーの幅をさらに広げたいという話でしたが、さらに磨きたい部分はどんなところでしょう。

俵積田 先ほど言ったオフ・ザ・ボールの質もそうですし、守備も向上させたい。結局、全部ですね。すべての質をもっと上げていきたいと思っています。

――5月14日に二十歳になりました。ここまでキャリアは思い描いたとおりに進んでいますか。『二十歳の誓い』を聞かせてください。

俵積田 とくに、そういうものはないですね。ただ、小さい頃からプロサッカー選手になるのが夢で、その点はクリアできているのと、みんながそうだとは思いますけど、自分は日本代表を目指してやってきました。最終的にはA代表に選ばれて、そこで定着して、日本を代表する選手になれたらと思っています。

――現在の日本代表で言えば、同じ左サイドに三笘薫選手という絶対的なドリブラーがいます。俵積田選手はネクスト三笘という呼ばれ方もしますが、海外でも活躍する三笘選手は刺激になる存在ですか。

俵積田 はい。いずれは自分も同じように活躍したいと決めているので。追いつき追い越すために、頑張っていきたいと思います。

――同じドリブラーとして、俵積田選手が感じる三笘選手の凄さとは、どんな部分でしょうか。

俵積田 見て分かる通りですよ。全部(苦笑)。説明不要だと思いますけど、あえて言うなら、ドリブルするタイミングが本当にうまいなと感じます。無理に行くのではなくて、カバーがいるなら空いている選手をしっかり使うし、ドリブルするチャンスが今しかないというところで仕掛けて相手を抜き切っている。そもそもドリブルは見ての通り凄いんですけど、その前の状況判断がすごく良くて、自分も先ほど言ったように、そこは目指しているところ。そうなれればと思っています。

――仕掛けるか、周囲を使うかの使い分けは難しいものですか。

俵積田 自分はもともと複数人にマークに付かれたときに、それでも仕掛けたいという気持ちが強くなっちゃうタイプなんです。スタジアムも盛り上がるし、それで抜き去ったらヒーローになりますしね(笑)。でもそこは冷静に判断することが必要で、チームが勝つために大事になる。ドリブルするところとしないところの判断をもっとうまくできたらなといつも思いますね。