5月15日の明治安田J1リーグ第14節で、サンフレッチェ広島と鹿島アントラーズが対戦した。1993年の開幕から31年目となる『Jリーグの日』に行なわれた、J最初の10クラブであるオリジナル10同士の一戦。最初の15分で2得点を奪って主導権を握った鹿島に対し、広島も後半に1点を返して追い上げたものの、鹿島が3点目を奪って突き放し、新スタジアムでのJリーグ初のナイトゲームの勝者となった。

上写真=15分、鈴木がPKを決めて鹿島が2-0とする。後半に1点を返されたものの、追加点を奪って勝ち点3をつかんだ(写真◎J.LEAGUE)

■2024年5月15日 J1リーグ第14節(@Eピース:観衆25,302人)
広島 1-3 鹿島
 得点:(広)マルコス・ジュニオール
    (鹿)植田直通、鈴木優磨、チャヴリッチ

「選手たちを誇りに思う」

 今季から使用されている広島の新しいホームスタジアム、エディオンピースウイング広島でのJリーグ初のナイトゲーム。平日にもかかわらずチケットが前売りで完売した一戦は、試合前に大型ビジョンやLED照明を駆使した演出が行なわれ、これまでとは違う華やかな雰囲気の中でキックオフを迎えた。

 広島は5月10日に予定されていた第13節が、相手の横浜F・マリノスがAFCチャンピオンズリーグ決勝に進出したため6月19日に変更となり、5月6日の第12節から中8日。5月12日に第13節を消化して中2日の鹿島はコンディショニングでは不利な状況だったが、立ち上がりの5分に先制点を奪う。カウンターから右CKを獲得すると、MF名古のキックをDF植田がヘッドで合わせ、2試合連続ゴールで均衡を破った。

 さらに鹿島は13分、右サイドからドリブル突破を図ったFW師岡が、エリア内で広島MF越道のファウルで倒されてPKを獲得。FW鈴木が広島GK大迫に触られながらも決めて(得点時間は15分)、こちらも2試合連続ゴールでリードを広げた。

 対照的に広島は、2分と18分に失点して0-2とされ、最終的に2-3で敗れて今季初黒星を喫した第12節・名古屋グランパス戦と同様の苦しい立ち上がりに、28分には越道の左からのセンタリングをMF満田がつなぎ、最後はMF加藤が右足で狙ったが、わずかに右に外れる。その後も連続してCKを得る時間帯があったが、決定機を作るには至らず、そのまま鹿島が2点をリードして前半を終えた。

 広島はハーフタイムに選手交代で動き、MFマルコス・ジュニオールとMF松本泰を投入。55分には警告を受けたDF荒木に代えてFWピエス・ソティリウを入れ、左サイドを中心に攻め込んで得点を狙う。65分には鹿島MF知念の自陣ゴール前での横パスをマルコス・ジュニオールがインターセプト。すぐさま右足でゴール左スミにミドルシュートを沈め、少ないチャンスを生かして1点差に追い上げた。

 その後はオープンな展開となり、両チームにチャンスが訪れたが、次の1点を奪ったのは鹿島。84分、ボールを奪って攻めに出ようとした広島のパスをインターセプトしたMF佐野が、一気に加速してのドリブル突破で左サイドのスペースに侵入し、折り返しをチャヴリッチが蹴り込んだ。

 結局この1点がダメ押しとなり、鹿島が敵地で2試合ぶりの勝利。東京ヴェルディ相手に3-0から追い付かれて3-3に終わった前節の苦い引き分けを払しょくし、試合後のランコ・ポポヴィッチ監督は「鹿島のあるべき姿を見せることができた試合。選手たちを誇りに思う」と喜んでいた。

取材◎石倉利英 写真◎J.LEAGUE

▼出場メンバー
・広島:GK大迫敬介、DF塩谷司、DF荒木隼人(55分:ピエロス・ソティリウ)、佐々木翔、MF中野就斗、川村拓夢、満田誠(HT:マルコス・ジュニオール)、東俊希(HT:松本泰志)、加藤陸次樹(81分:新井直人)、越道草太、FW大橋祐紀(81分:柏好文)

・鹿島:GK早川友基、DF濃野公人、植田直通、関川郁万、安西幸輝、MF知念慶、佐野海舟、名古新太郎、仲間隼斗(78分:樋口雄太)、FW師岡柊生(71分:チャヴリッチ)、鈴木優磨(88分:ミロサヴリェヴィッチ)