明治安田J1リーグ第12節で、浦和レッズは横浜F・マリノスを迎えた。伊藤敦樹が42分、66分と連続ゴールを挙げて試合を優位に進めると、横浜FMの反撃を1点に抑えて逃げ切りに成功した。

上写真=伊藤敦樹が堂々の2ゴール!(写真◎J.LEAGUE)

■2024年5月6日 J1リーグ第12節(@埼玉/観衆40,579人)
浦和 2-1 横浜FM
得点:(浦)伊藤敦樹2
   (横)加藤聖

「浦和がいいサッカーをしていた」

 横浜F・マリノスは決勝進出を決めたACLと並行して戦いながら、リーグでは6試合負けなし。ただ、ここ3試合はすべて逃げ切れずに追いつかれてのドローだ。

 ACL決勝も見据えつつ、連戦の影響もあって先発メンバーは前節からフィールドプレーヤー10人すべてを変更。出場停止のアンデルソン・ロペスのほか、エウベル、ナム・テヒ、エドゥアルド、畠中槙之輔、松原健らはベンチ入りも回避した。しかも開始間もない11分には、天野純が右足首をひねって早々に交代を余儀なくされるアクシデントにも襲われた。

 その影響は明らかで、前半に終始、主導権を握ったのは浦和だ。特に目立ったのが左サイド。

 インサイドハーフで起用された大久保智明、ウイングの中島翔哉、サイドバックの渡邊凌磨がボールを素早く動かしながら、敵陣深くまで押し込んでいく。開始早々の中島の連続ミドルシュートでリズムをつかむと、1トップのチアゴ・サンタナ、アンカーのサミュエル・グスタフソンも加勢して、さらに左サイドを活性化させていく。

 だから、42分にこのサイドから先制ゴールが生まれたのは必然だっただろう。

 渡邊のスローインを受けたチアゴ・サンタナ、左の中島、その内側の大久保がすべてワンタッチでボールをリズムカルに走らせると、中島がリターンパスを受けて中に持ち出し、スルーパス。中央に潜り込んできた伊藤敦樹が、左足でGKポープ・ウィリアムの股下を射抜いてみせた。

 横浜FMも同じく左サイドから反撃し、井上健太の突破力に活路を見出そうとするが、対面の石原広教の冷静な対応にあって崩しきれない。

 横浜FMのハリー・キューウェル監督は一気に打開を図るべく、62分に4人を交代させた。右からヤン・マテウス、植中朝日、宮市亮で前線を組み、移籍後初出場となる山村和也をアンカーに据えた。だが、1点を狙う大胆な策もその4分後には難しくさせられてしまった。またも失点を許したのだ。

 浦和は自陣からつないでグスタフソンが縦へ。走りながらこのボールを引っ掛けるように持ち出した伊藤がドリブルで運び、相手の寄せが甘いと見るやペナルティーエリアの外から左足を振って、ゴール左に流し込んでみせた。この日の自身2ゴール目が勝利をぐっと近づけた。

 横浜FMはヤン・マテウスが右から突破して左足のシュートで何度もゴールを襲い、83分にはヤン・マテウスのパスで山村和也がフリーになりながら左足シュートが右に切れるなど、ゴールを割ることができない。

 しかし86分、ついに実る。右からカットインしたヤン・マテウスが横パスを届け、中央に入ってきた加藤聖から宮市、植中と短くつないで中央を割り、最後は加藤聖が左足で強烈にネットを揺らした。これで1点差。だが、もう1点が遠かった。

 浦和がしのいで逃げ切って手にした、今季5勝目。浦和のペア・マティアス・ヘグモ監督は「いいコンビネーションを見ることができた」と満足の表情だった。前節、川崎フロンターレに敗れたことをふまえて「規律を守ること」を選手に課して臨み、戦術面も強度もとても高く戦い抜いたことを称えた。

「浦和は素晴らしいサッカーをしていた。球際一つひとつをとっても、相手がいい動きをしていた」

 そう脱帽したのは、横浜FMのキューウェル監督。メンバーを変えながらの戦いで、バトルの局面で力不足だったことを悔やんだ。