FC町田ゼルビアが首位に返り咲いたFC東京戦で注目を集めたのが、22歳の右サイドバック、望月ヘンリー海輝だ。圧倒的なスピードで右サイドを攻略。オ・セフンの決勝点をアシストするなど大きなインパクトを残した。

上写真=リーグ戦初先発で強いインパクトを残した町田の望月ヘンリー海輝(写真◎Getty Images)

攻撃面で持ち味を発揮

 黒田剛監督の狙いがズバリ、ハマった。

 この日、右サイドバックに入ったのは鈴木準弥ではなく、望月ヘンリー海輝。週中のルヴァンカップ、北九州戦に先発して評価を高め、リーグ戦でも初先発を飾ることになった。

 黒田剛監督の説明によれば、望月の起用はFC東京のスピード豊かなサイドアタッカー対策でもあったという。前半は対峙した俵積田晃太に翻弄される場面もあったが、中央をしっかり固める町田の守備は固く、望月の劣勢が大きな問題につながることはなかった。そして俵積田に代わったジャジャ・シルバに対しては、そのスピードを生かしつつ粘り強い守備も披露している。

 一方、攻撃面ではその力をより分かりやすい形で発揮した。同点に追いつかれたあと、決勝点となるオ・セフンのゴールをお膳立てしてみせた。圧倒的なスピードで右サイドを攻略したのだ。

 ドレシェヴィッチのロングフィードに合わせてFC東京の左サイドバック、バングーナガンデ佳史扶の背後を突くと、深い位置から右足でクロスを供給。オ・セフンのダイビングヘッドにつなげた。

「自分のストロングであるスピードを生かせる形でしたし、あれは狙っていたんで、自分の得意な形で結果を残すことができて良かったと思います」と望月。この試合、サイドの攻防がポイントになると踏んだ黒田監督は、適材適所の選手起用で、つまりは望月の起用によってその勝負に勝ったと言える。

「192センチでサイドで(プレーしている)っていうのは、J1の中でも大きい(選手)と思うので、高さという部分はアドバンテージがあると思います」

 特筆すべきスピードに加え、サイズもある。指揮官や昌子源が望月の「優しすぎる性格」と「遠慮がち」な点に言及していたが、守備の向上とともに求められる意識面の改革についても、「上のレベルで活躍している方々は人とは違う、いい意味でオラオラ感が(ある)。強い意識を持って、見習っていきたい」と自覚する。

 2001年9月生まれ。カタールでパリ五輪予選を戦うU−23日本代表と同世代の22歳。望月は日進月歩で成長をしていることを初先発も試合で示した。