守備も攻撃もより連動するように
ーー実際、福岡戦ではゴール前に走り込んでゴールを決め、長友佑都選手のゴールもアシストしました。積極的な攻撃参加が実を結びました。
佳史扶 チームとしてクロスに対してどんどん入っていくプレーは何度も練習してきましたし、映像も見て、修正しつつ、トレーニングしてきました。ベースとしてみんなでボールをしっかり回して相手を崩すとなると、繋がりと連動が必要で、その分、チーム全体をコンパクトに保つことが欠かせません。そうすることで攻撃に厚みも増したと思うし、逆サイドのサイドバックが中に入っていく状況を生み出せる。積み上げてきたことが本当に狙い通りというか、しっかり出せたのが福岡戦でした。
ーーシュートも枠内にきっちり蹴り込んでいます。
佳史扶 キャンプが2部練習のとき、午後練習がセットプレー練習だったら、その中で跳ね返ってきたボールをダイレクトでボレーするというトレーニングをやり続けました。2週間毎日、そればっかりやっていたと言っていいくらいです。福岡戦のゴールは想定していたシチュエーションそのままで、本当にコーチの人たちのおかげです。今後もシュートは積極的に狙っていきたいと思っています。
ーー目標とするギャレス・ベイルのような鋭さでしたね。
佳史扶 笑。それは言いすぎですが、少しでも近づけるように。
ーープレミアリーグ好きで、ベイルのような攻撃的なサイドバックの存在を教えてくれたお父様も、あのゴールは喜んでくれたのでは?
佳史扶 はい。お父さんもそうですけど、お母さんも、家族みんながやっぱり攻撃が好きみたいで。僕が攻撃しているところが好きらしくて、「シュートとかどんどん打ちな」って日頃から言われています(笑)。チームとして、あのスペースに入っていくことになっているので、自分自身も前へより行きやすいですし、こうして結果が出ると、自信がつくので、これからもどんどん狙っていきたいと思います。自分の武器と言われるようになるくらい、シュートを決めたいですね。
ーー守備面についても、前からはめに行くプレスとか、これまでとの違いを感じます。
佳史扶 寄せ方のところで、今まではどちらかというと、ブロックを敷いて相手に侵入させないとか、その時々ですけど、少し後ろに重い守備だった面はあると思います。でも今年は前から、よりアグレッシブに奪いに行く守備もやっていますし、リスクが伴うぶん、連動や繋がりが求められるんですが、チームとしてそこもしっかりやっていこうとトライしています。僕的には前に行けるので、すごくポジティブですし、正直、自分が相手に外されても、戻る自信もあるので、チームとして、どんどん奪いに行く守備ができれば、これからどんどんアグレッシブに戦えると思います。
ーー試合中、高宇洋選手や小泉慶選手らボランチから頻繁に指示も出ていますね。
佳史扶 2人だけではなく、誰が出ても真ん中から声が出ていて、連動するようになってきたと思います。それとヤンくん(高宇洋)には、キャンプのときからなのですが、開幕してからもずっと僕のポジショニングについて意見を聞いているんです。サイドバックとしてこの場面でどこにいるべきなのか、そういうことについて喋る機会が一番多くて、そういうことがあったので、ヤンくんが出た福岡戦はやりやすかった面があったし、繋がれているなと意識をしながらプレーできました。
ーー高選手のアドバイスも効いていたのですね。
佳史扶 きょうの練習後も聞きました。ヤンくんの説明はわかりやすくて、「ここを使いたいからここに立ってほしい」とか「このタイミングで中に入っちゃうと、ここのスペースがなくなっちゃう」とか。正直、自分はまだまだ全然できていない動きが多いですけど、他の選手からも、コーチ陣からもフィードバックしてもらいつつ、毎試合毎試合、毎練習毎練習後に話し合って、高めている感じです。
ーー鹿島戦に勝てば、成績も勝ち越すことになり、順位も上昇します。
佳史扶 チームを勢いづける意味でも連勝したい。浦和戦もきつかったですが、次も中3日。ただそれは相手も同じですし、チームとして一人ひとりがサボらず、しっかりやって勝利をつかみたいと思います。
取材・構成◎佐藤景(フリーライター)