上写真=2−2のドローに終わった東京V対京都。痛み分けとなった(写真◎J.LEAGUE)
■2024年3月29日 J1第5節(観衆10,060人/@味スタ)
東京V 2ー2 京都
得点:(東)染野唯月2
(京)豊川雄太、原大智
京都は前半の勢いが続かず…
いきなりネットが揺れた。決めたのはホームチームの東京Vではなく、アウェーの京都。開始3分のことだ。
GKク・ソンユンのゴールキックを東京VのMF見木がヘッドで跳ね返す。ハーフウェーラインを越えて京都陣内で高々と上がったボールを、東京VのFW山田剛綺と京都のDF麻田将吾が競り合った。
そのこぼれた球を宮本優太が蹴り返すと、東京V陣内でまたも競り合いになる。落下地点には東京VのCB林尚輝と京都の右ウイング、マルコ・トゥーリオがいたが、ワンバウンドしたボールに先に触ったのはM・トゥーリオ。右足でゴール前に絶妙のパスを送り、そこへ豊川雄太が走り込む。追いすがる東京VのCB谷口栄斗をブロックしながら、冷静に蹴り込んだ。
しかし、である。VARにより豊川の飛び出しがオフサイドと判断され、ノーゴールの判定。京都にとっては悔しさの残るプレーになったが、以降も勢いを持ってゲームを進めていった。一方で救われた形の東京Vは、その後も競り合いで劣勢になるケースが多く、寄せの甘さが目立った。
その図式が継続する中で、やはり京都が先制点を奪う。22分だった。
自陣やや右寄りの位置から宮本がロングボールを供給。ボックス手前左でそのボールを収めた豊川が狙いすましてゴール右上にシュートを叩き込んだ。
攻撃に出た瞬間で、チーム全体が前に重心をかけたところを蹴り返されたとはいえ、東京Vの守備陣が豊川を全くのフリーにしてしまったのは、いただけない。豊川の技術の高さは称賛に値するが、時間と空間を与えすぎたのも確かだろう。
その4分後だ。京都がリードを広げる。武田が右サイドでボールを持ち上がったプレーから重層的な攻撃を展開した。右から送った原のクロスは東京Vの守備陣に跳ね返されるが、そのこぼれ球を松田天が拾って、ボックス内に走り出した原へスルーパス。フリーの原が右足で蹴り込み、京都が追加点を記録した。
京都の選手たちがボールホルダーに対して複数人が連動して動き、いくつものパスコースを作り出すのとは対象的に東京Vの攻撃は単発の感が否めず、守備においても激しさが足らず、後手に回るケースが多かった。
後半、東京Vは城福浩監督から喝を入れられたのか、気合を入れ直して試合に臨んだ。球際のバトルで互角の戦いを演じるようになると、60分過ぎからはボールを積極的に動かし、京都ゴールに迫っていく。
サイドからクロスが入るようにもなったが、京都の守備陣もボックス内はとくに集中力高く守って、ボールを弾き返した。それでもサイド攻撃で優位に立った東京Vはその後も攻めの姿勢を継続。80分には山見が左サイドからボックス内に進入したところを福田に倒され、PKを獲得した。これを染野が沈めて1点を返す。
そしてアディショナルタイムの90+3分。東京Vが気迫の同点ゴールを記録する。齋藤のパスを受けた染野が同点ゴールをスコア。土壇場で同点に追いついた。
4節でも同じ味の素スタジアムにおいて、新潟に試合終了間際の90分に2−2と追いつく白熱のゲームを演じたが、この日も驚異の粘りを見せ、勝ち点1をつかみ取った。惜しむらくはその姿勢をスタートから見せられないことか。その粘り強さは特筆すべきものがある。
対する京都は、劣勢の時間帯に試合を終わらせるようなプレーができず、勝ち点を逃すことになった。試合運びという点で課題が残ったのは確かだろう。
最後に追いついたという点で東京Vにとってはポジティブな結果とも言えるが、5試合を終えて未勝利という結果は苦しい面もある。この一戦を経て、京都は暫定で12位、一方の東京Vは16位となっている。
▼出場メンバー
・東京V◎GKマテウス、DF宮原和也、林尚輝、谷口栄斗、深澤大輝(61分:山見大登)、MF松橋優安(76分:綱島悠斗)、森田晃樹、見木友哉、翁長聖(46分:齋藤功佑)、FW染野唯月、山田剛綺(46分:稲見哲行)
・京都◎GKク・ソンユン、DF福田心之助、宮本優太、麻田将吾、佐藤響、MF武田将平、川崎颯太、松田天馬(89分:三竿雄斗)、FW豊川雄太(61分:宮吉拓実)、原大智(89分:山﨑凌吾)、マルコ・トゥーリオ(74分:福岡慎平)