上写真=決勝点となるFKを決めた神戸の大迫勇也(写真◎J.LEAGUE)
■2024年3月9日 J1リーグ第3節(観衆24,974人/@味スタ)
FC東京 1−2 神戸
得点:(F)小泉慶
(神)宮代大聖、大迫勇也
退場者を出し、数的不利になったFC東京
ゲームが意外な形で幕を開ける。開始5分。立ち上がりから押し込んだ神戸のインサイドハーフ、宮代のシュートをFC東京のCB森重が体を投げ出してブロックした。
ナイスブロックで神戸のCKでリスタートすると思われたが、VARが介入し、オン・フィールド・レビューを経て清水勇人主審はPKを宣告した。森重がブロックした際に一度体に当たったボールが振り上げた腕に当たっていたのだ。
故意ではないものの、判定は覆らず。神戸のFW、大迫がボールをセットした。昨季の得点王にしてMVPがキッカー。観衆の多くが試合開始早々にスコアが動くことを予想しただろう。
しかし、である。右足を振り上げ、ボールをとらえる瞬間に軸足が滑る。ボールは大きく枠を逸れ、試合は0−0で続くことになった。
前半45分を0−0で過ごし、迎えた後半。50分、ゴラッソが生まれ、ようやく均衡が破れる。FC東京が得た右CKの場面。佳史扶の蹴ったインスイングのボールは神戸のGK前川に弾かれたが、ファーサイドに小泉が待っていた。ボックス左隅に走り込み、こぼれ球を右足でとらえると、鋭いシュートがゴール左に突き刺さった。
1点をリードされた神戸は、直後から攻撃の圧力を強める。ボールホルダーを追い越す選手が増え、ボールが激しく縦に動いた。55分には左ウイングの広瀬からのクロスがこぼれたところに走り込んだ酒井が強烈なシュートを放つ。これはFC東京の守護神・波多野のセーブされたが、神戸の攻めにリズムが出始めた。
すると57分、連動したプレーから同点に追いついた。右サイドから中央に進出し、ボックス手前でパスを受けた武藤が左サイドの広瀬に展開。広瀬が狙いすましてクロスを送ると、この日、初先発を果たした新戦力の宮代が高い打点のヘディングシュートを決め、神戸が同点に追いついた。
試合を振り出しに戻した神戸はその勢いを駆って攻撃機会を生み出していった。70分には相手の最終ライン裏に出された浮き球に宮代が反応。エンリケ・トレヴィザンと争う形になったが、うまく体を入れて抜け出そうとしたところで倒され、ファールを誘った。
このプレーでH・トレヴィザンは一発退場。FC東京は残り20分あまりの時間を一人少ない状態で戦うことになった。しかも、このファールで得た直接FKを神戸がものにして見せる。ボックス左やや外から大迫がゴール左上に蹴り込んだ。
開始早々のPKを外したものの、より難しいFKを決めきった大迫。優れた技術や決定力もさることながら、メンタルの強さを感じさせるゴールだった。
その後、FC東京は選手交代で再びスコアを動かしにかかった。新戦力の小柏の加入後初出場やケガによる長期離脱から中村帆の復帰もあったが、一人少ない状況はいかんともしがたく、リスクを管理しつつ戦う王者神戸を崩せず。結局試合は2−1でアウェーの神戸が勝利。FC東京は先行しながらも今季初勝利を手にすることができなかった。
▼出場メンバー
・FC東京◎GK波多野豪、DF長友佑都(83分:中村帆高)、森重真人、、バングーナガンデ佳史扶、MF小泉慶、松木玖生、荒木遼太郎(83分:小柏剛)、FW仲川輝人(83分:仲川輝人)、ディエゴ・オリヴェイラ(73分:木本恭生)、遠藤渓太(62分:ジャジャ・シルバ)
・神戸◎GK前川黛也、DF酒井高徳、山川哲史、マテウス・トゥーレル、本多勇喜(74分:初瀬亮)、MF山口蛍、扇原貴宏、宮代大聖(82分:井手口陽介)、FW武藤嘉紀(90+6:飯野七聖)、大迫勇也、広瀬陸斗(74分:ジェアン・パトリッキ)