上写真＝荒木遼太郎が味の素スタジアムでFC東京の一員として初ゴールを決めた（写真◎J.LEAGUE）
■2024年3月2日 J1リーグ第2節（@味スタ／観衆32,274人）
FC東京 1-1 広島
得点：（F）荒木遼太郎
（広）大橋祐紀
「自分でもびっくりしています」
「よろしくお願いします」
サポーターに向けたゴールセレブレーションの折り目正しいお辞儀には、そんな意味を込めていた。荒木遼太郎がチームを敗戦の危機から救ったゴールは、71分に生まれた。先制されてわずか2分後のことだ。
右サイドを駆け上がった長友佑都が折り返したボールに反応して、ニアサイドに入った。その場所を相手より先に取ったポジショニングが優れていたのはもちろんだが、見せ場はむしろここから。ボールを足元に収めると、右足裏で引いてすぐに前に押し戻して相手の逆を取って右足を振り、ニアのトップコーナーめがけて蹴り込んだ。軽やかなテクニックは、この人の真骨頂である。
「右足で打ちたかったんで、あれはとっさにして右に持って打ちました。ゴールが目の前だったので、ほかのことは考えていなかった」
予兆はあった。この日もトップ下に入って攻撃の中心になると、33分に左からカットインしてきた遠藤渓太から短くもらって、相手を背負いながらも反時計回りにターンして右足で狙ったシーンがある。
「今日は試合の入りから自分のプレーを出してコンディションもタッチもいい感触だったので、ゴール前では冷静に決めてました」
これで、2試合連続で計3ゴール。
「こんなに結果が現れることは初めてなので、自分でもびっくりしています」
鹿島アントラーズでプレーした昨年はなぜ試合に出られなかったか分からないと話していたほど、調子はよく、自信があった。だから、本人が驚いているというのは少し意外だが、青赤のユニフォームに袖を通して、自信が具現化した。
「開幕戦よりはボールの動きも良くなったと思います。もっともっとつながりが出てくれば、本当にいい攻撃ができて、得点力も上がっていくと思います。生かしやすい選手が多くて、信じてパスしているので、そのおかげかなと思ってます」
FC東京の選手として、初めてホームの味の素スタジアムを駆けて、幸先よくゴールも決めた。「自信になった」と目を輝かせたが、一方で先行されてなんとか追いつくドローが2試合続いている。
だからこそ、「勝ち越しゴールを決められるようにしたい」。FC東京の荒木遼太郎として、次は勝利に導く一撃を誓うのだった。