明治安田生命J1リーグは第30節を迎え、10月20日には浦和レッズが柏レイソルと対戦した。前半はスコアレスで折り返したが、後半開始早々に浦和が小泉佳穂と荻原拓也が決めて一気に押し切った。終盤の柏の攻撃もシャットアウトして、2-0で勝利。首位争いに食らいついていく。

上写真=先制ゴールの小泉佳穂を中心に喜びの輪。浦和のサポーターもようやくのゴールに歓喜が弾けた(写真◎J.LEAGUE)

■2023年10月20日 J1リーグ第30節(@埼玉ス/観衆25,991人)
浦和 2-0 柏
得点:(浦)小泉佳穂、荻原拓也

決定的になったHTの交代策

 堅いゲームになった。

 といっても、面白みがないわけではない。16位の柏レイソルはアウェーゲームで残留へ少しでも勝ち点を積み上げたい試合に、攻撃の中心のマテウス・サヴィオが出場停止、エースの細谷真大もU-22日本代表のアメリカ遠征から帰国したばかりでベンチスタートになった。そうなると、重心が下がりそうなものだが、小屋松知哉と山田康太のテクニシャンで2トップを組み、左のジエゴと山田雄士の左サイドを中心にボールを運んで、チャンスをうかがっていく。

 優勝の可能性をつなげたいホームの3位浦和レッズは、関根貴大が右ヒザを痛めて8分と早々に交代を余儀なくされるアクシデント。それでも、大久保智明のドリブルを生かす右サイド、好調の荻原拓也の高速クロスを飛ばしていく左サイドと、外からこじ開けようとしていく。

 ただ、どちらも守備陣が落ち着いていて、中央を割らせないシュアなディフェンスで45分を過ごした。

 先に手を加えたのは浦和だが、これが試合を決める決定的な交代策になった。

 ハーフタイムに興梠慎三に代えて安居海渡を投入して、トップ下へ配置。1トップには前半途中でトップ下から左MFに回っていた高橋が入り、代わって左MFからトップ下に移っていた小泉佳穂が左MFに戻った。

 すると53分、右に開いた大久保がワンタッチでボールを裏へ滑り込ませた。伊藤敦樹が下がってできた背後のスペースに安居が走り込んだのを見逃していなかったのだ。安居は強烈な右足シュートを見舞って、GK松本健太がなんとかはじいたものの、こぼれ球を小泉が蹴り込んで、ついに均衡を破った。

 4分後にたたみかけたことで、浦和が完全に試合を支配することになる。右から大久保が斜めに中央に運び、小泉に渡すと、その外側から猛然と走り込んだ荻原へ。自慢の左足を豪快に振り抜いて、パワーショットがゴール右に突き刺さった。

 小泉も荻原も今季のリーグ戦で最初の得点。難しかった前半から勝利をもぎ取る貴重な「初もの」になった。

 柏はこの直後の61分に3人を一気に代えて、仙頭啓矢、武藤雄樹、川口尚紀を投入、70分には細谷、78分にはドウグラスも送り込んで逆襲を狙うが、一度渡った主導権を取り戻すのは難しかった。

 浦和は2試合ぶりの勝利で、これで7試合負けなし。1得点1アシストで印象的なプレーを見せた小泉は「いい連動からいい形を作ってくれた」とチーム全体の関わりに自信を口にした。まだまだ首位戦線に食らいついていく。

 柏から見れば、井原正巳監督が「我慢比べのゲームだった」と話した通り。「先に失点して浦和さんの堅い守備をこじ開ける力がなかった。そこに差があった」と、主力を欠いた攻撃の難しさを痛感していた。