10月1日の明治安田生命J1リーグ第29節で、10位のFC東京が2ポイント差で13位のガンバ大阪を迎えた。この日はFC東京のクラブ創設25周年の記念日。それを祝うかのように、原川力、ディエゴ・オリヴェイラ、俵積田晃太が決めて、3-0で快勝した。

上写真=2試合連続ゴールの俵積田晃太を仲間が祝福。25周年を派手に祝った(写真◎J.LEAGUE)

■2023年10月1日 明治安田生命J1リーグ第29節(@味スタ/観衆30,521人)
FC東京 3-0 G大阪
得点:(F)原川力、ディエゴ・オリヴェイラ、俵積田晃太

「すべての要素で素晴らしい」

 一進一退の流れにケリをつけたのは、FC東京だ。前半の終盤に一気に奪った2ゴールで、試合をコントロールした。

 37分はコンビネーションで。右から長友佑都が中へ入れ、ディエゴ・オリヴェイラがスルーしたところで仲川輝人が受けると、そのすぐ右側を原川力が駆け抜けて、足元へパスを届ける。原川は縦に抜けて右足を振り抜いて、先制ゴールが生まれた。

 6分後には疾走感たっぷりのカウンターで。自陣でエンリケ・トレヴィザンが左につけ、アダイウトンが顔を上げたところで前線にディエゴ・オリヴェイラが走り出していた。DFの背後で浮き玉のパスを受けると、飛び出してきたGK東口順昭も左にかわし、無人のゴールへと流し込んだ。

 ただ、そこまではむしろ、ガンバ大阪のほうがチャンスが多かった。11分に食野亮太郎が中央を抜け、20分には倉田秋のスルーパスで抜けた宇佐美貴史が狙う。23分にも食野が中央を割り、27分に宇佐美がミドルシュート、31分には黒川圭介が左からカットインしてゴールに襲いかかった。

 G大阪がそんなチャンスの波を逃したところで、FC東京が2点を決めてみせたのだ。

 後半も一進一退の流れだったが、FC東京はアカデミー育ちのルーキーが決めてみせる。G大阪のロングキックを長友がヘッドではじき返し、自陣で拾った俵積田晃太がそのままドリブルをスタート。左に運んで2人に挟まれながらも巧みにヒールでつついて突破すると、最後はゴール左から右上隅に送り込む一撃でとどめを刺した。

 原川は移籍後初ゴール、ディエゴ・オリヴェイラは自身最多タイとなる14ゴール目、そして25年の歴史を象徴するようなアカデミー育ちの俵積田の2試合連続ゴールと、彩りも鮮やか。守備でも最後までタイトにつぶし続けてクリーンシートを達成し、FC東京にとっては充実の勝利になった。

 だから、ピーター・クラモフスキー監督も「すべての要素で素晴らしく、勝利に値するものを出してくれた。もっとゴールが取れてもおかしくなかった」と満足の表情。25周年の日の勝利に「クラブにとって大事な日に、クラブにとって大事な存在のサポーターに勝利を届けられてうれしい」と歴史を彩る勝利を素直に喜んだ。

 これでリーグ戦6試合で勝利のないG大阪。ダニエル・ポヤトス監督は開口一番「よくなかった」として、「前半はいい流れがありましたが、タレントの差が出ました。タレントとは判断のところで、その差が出て2点を取られました」と、最初の45分で難しい展開になったことを悔やんだ。