9月24日の明治安田生命J1リーグ第28節で、湘南ベルマーレが川崎フロンターレを迎えた「神奈川ダービー」は東京・国立競技場での開催。湘南の「Jリーグ加盟30周年記念試合」として行われた一戦は、川崎Fが粘り勝ちを収めた。前半に決めた2ゴールを生かし、押し込まれた後半にもゴールを許さなかった。

上写真=レアンドロ・ダミアンが今季初ゴールで追加点!(写真◎J.LEAGUE)

■2023年9月24日 J1第28節(@国立競技場/観衆54,243人)
湘南 0-2 川崎F
得点:(川)山田新、レアンドロ・ダミアン

「非常に残念な情けない試合」

 残留を争うライバル、横浜FCがこの前日にアルビレックス新潟に敗れたため、湘南ベルマーレは引き分け以上で約3カ月半ぶりに最下位を脱出できる重要なゲーム。「Jリーグ加盟30周年記念試合」として国立競技場にクラブ史上最多の5万4,243人を集めた一戦で、負ける訳にはいかない。

 そこに立ちはだかったのが川崎フロンターレである。こちらはAFCチャンピオンズリーグの初戦をマレーシアで戦って中4日でのゲーム。先発メンバーに微調整を加え、3-5-2の配置に選手を並べてのゲームになった。

 試合は早々に動く。11分、レアンドロ・ダミアンが中央でキープしてから瀬古樹が落としをもらい、そのまま脇坂泰斗に渡すと、左へ優しいラストパス。ペナルティーエリアの中へと走り込んだ山田新が右足で丁寧にゴール右に送り込んで、川崎Fが先制する。

 34分には川崎Fが連係を生かして左へ深く攻め込んだところで瀬川祐輔が倒され、VARチェックのあとのオンフィールドレビューを経てPKの判定に。レアンドロ・ダミアンのシュートはGK馬渡洋樹に止められたものの、キックより先にゴールラインから足が離れたとして、蹴り直しに。今度はレアンドロ・ダミアンが真ん中に蹴り込んで、39分に2-0とリードを広げた。

 後半開始からアンカーに田中聡を送り込んで中盤を引き締め直した湘南は、逆襲に転じる。しかし、なかなか決定的なチャンスには至らず、65分に杉岡大暉の右からのFKで強襲するなどしたが、ペナルティーエリアの中は川崎Fの選手たちに固められ続けた。

 ともに選手交代でリフレッシュしながら戦う中で、川崎Fは前半に佐々木旭、後半に車屋紳太郎とセンターバックが相次いで負傷交代を余儀なくされる緊急事態。そこに乗じて湘南が時間を追うごとに相手陣内に押し込んでいった。しかしそれでも、川崎Fの堅陣を突破することはできなかった。

 その90分を、湘南の山口智監督は「情けない」と表現した。

「前半は立ち上がりを含めてよくなかったと思います。2点取られてからスイッチが入って押し込めたけれど、0-2からひっくり返せなかったので、非常に残念な情けない試合をしてしまったと思います」

 川崎Fは前半に奪った2得点が効いたが、後半は苦しんだ。その中でも3バックを貫きながら無失点に抑えたことを、鬼木達監督は高く評価した。

「スペースを与えないことを考えながら、適材適所だったかどうかは微妙ですが、いまのチームは全員がやるべきことが分かっているので、よくやってくれたと思います」

 車屋の負傷交代のあとには、橘田健人を左アウトサイドに、登里享平を左センターバックに据えるなど、緊急事態にも冷静に対応して乗り切った。ピンチが逆に、このチームのサッカー脳のレベルの高さを証明することになった。