上写真=ゴミスら選手たちは練習後にサポーターとハイタッチ(写真◎サッカーマガジン)
幸運、助け、謙虚
ドスッ、という重厚な爆裂音が、川崎フロンターレの麻生グラウンドに響き渡った。その直後に、おぉ〜、というため息。
ゲーム形式のトレーニングで、新加入のFWゴミスが左からのクロスに合わせて、右サイドから豪快な右足ボレーシュートをぶち込んだ瞬間、サポーターたちが歓声をあげた。
「私はストライカーですから」
あいさつがわりの一撃を、そう振り返った。
「あれはエグい。笑っちゃいました」
脇坂泰斗も思わずうなるほどだ。
FWとしての矜持に胸を張るゴミスだが、誰もが「本当にいい人」と表現するそのキャラクターの通りに、豪快弾も新しい仲間のおかげだと称えた。
「いいボールが来てくれたことがすごく大事で、私自身もいいポジショニングを取って、いいタイミングで入ることが大事です」
それがそのまま、ゴミスのストライカー論へとつながっていく。
「私は中央で勝負するストライカーですから、どこにボールがほしいかを伝えて、チームメートが送ってくれるボールに対して、私も合わせる。その連係を1日も早く高めたいと思っています」
当たり前のことかもしれないが、それを当たり前に表現するのがどれほど難しいことか。だが、初めての国での挑戦に心配はないようだ。自らの幸運を心から喜んでいる。
「私は非常にラッキーだと思っているんです。この日本のリーグの中でも、非常に素早くボールを動かすスキルフルなチームにいますから、それは自分にとっても助けになると思っています」
幸運と仲間の助けと、もう一つ、この日本で活躍するために大切にしていることがある。
「私はこの地で、新外国人選手としてプレーしますから、謙虚な姿勢が大事だと思っています。チームメートとともに一緒に学びながら、私自身も学ぶ姿勢をやめずに、自分自身を高めていきたいと思います」
豪快と謙虚。そのギャップもまた、「ザ・ライオン」と呼ばれるこのストライカーの魅力になりそうだ。