J1リーグ第16節が3日に行われ、味の素スタジアムではFC東京と横浜F・マリノスが対戦した。試合は開始直後から点の入る激しい展開となったが、昨季王者の横浜FMが激闘を制して勝利。FC東京は一時リードを奪うが、後半退場者を出し、勝ち点をつかめなかった。

上写真=決勝点をスコアしたマルコス・ジュニオールが絶叫!(写真◎J .LEAGUE)

■2023年6月3日 明治安田生命J1リーグ第16節(@味の素/観衆28,553人)
FC東京 2-3 横浜FM
得点:(F)ディエゴ・オリヴェイラ2
   (横)アンデルソン・ロペス2、マルコス・ジュニオール

前半はFC東京の時間帯だったが…

 開始1分と経たないうちにネットが揺れた。右サイドをワンツーで抜けたヤン・マテウスが送った鋭いクロスをアンデルソン・ロペスがヘディングシュート。アウェーに乗り込んだ横浜FMがスピードに乗ったプレーで、FC東京のゴールを破った。

 ただ電光石火の先制ゴールは、試合のペースをつかむことにはつながらなかった。その後、横浜FMはFC東京の激しい守備の前にビルドアップを制限され、ボールは握るものの、思うように攻撃の形を作れない時間が続く。先制点を挙げたA・ロペスは森重にマンマークにつかれて、その後しばらくは持ち味を消されてしまった。

 34分、FC東京がシンプルだが正確なプレーの連続で同点に追いついてみせる。自陣で長友が粘ってボールを奪い、アンカーの青木から右ワイドに構える仲川に大きく展開。狙いすましてニアサイドにボールを送ると、ディエゴ・オリヴェイラがCB畠中の死角から入り込み、ボレーでネットを揺らした。

 追いついたFC東京はその10分後に、勝ち越しゴールも奪ってみせる。今度は逆サイドからD・オリヴェイラの得点を導いた。スローインの流れから渡邊が守備ラインとGKの間に鋭いクロスを供給。エドゥアルドの背後を取ったD・オリヴェイラがヘディングシュートを突き刺した。

 開始早々にゴールを奪われたFC東京は前半のうちに逆転に成功。だが、試合はそのまま終わらない。後半も激しく動くことになった。次にネットを揺らしたのは横浜FMだ。

 62分、相手を押し込んだ状態で左サイドの永戸にボールを展開し、フォローしたエドゥアルドがGKの眼前にピンポイントでクロスを送ると、ギリギリのタイミングで飛び出したA・ロペスが右足を合わせた。

 クロスが上がる前、FC東京のCB森重はマークしているA・ロペスがオフサイドの位置にいることを確認していた。ただ、その背後にいた徳元がラインを上げきれておらず、ゴールを許すことになってしまった。横浜FMがそのギャップをうまく突く形になった。

 得点源が共に2点ずつを取り合い、試合は振り出しに戻った。その後も激しいボールの奪い合い、攻防が繰り広げられる中、69分にこの試合のポイントとなるプレーが起こる。ボールの争奪戦で体を入れてマイボールにした松木の腕がマルコス・ジュニオールの顔に当たり、1発退場となったのだ。

 判断が難しいプレーではあったが、オンフィールレビューを経て下された判定は退場だった。FC東京は残り20分あまりを1人少ない状態で戦うことになり、自然、横浜FMの攻めの機会は増えていくことになった。

 それでもFC東京はよく耐えしのいでいたが、試合終了間際の89分、決着のゴールが生まれる。決めたのは、M・ジュニオール。左からのクロスが流れたところを水沼が拾ってボックス右から逆サイドにボールを送る。ワントラップで収めたM・ジュニオールが冷静に蹴り込んだ。

 試合は3−2で終了。横浜FMが『再逆転』で勝利を収めた。

「アウェーのFC東京戦は簡単ではない。彼らはホームでの強さを持っています。その中で後半を見れば、自分たちのやろうとしていることが出ましたし、いいパフォーマンスを見せることができました。前半(の内容)は早く頭の中から無くしたいですね」

 マスカット監督が振り返った通り、幸先よく先制したものの、前半の横浜FMは決して良い出来ではなかった。FC東京のアグレッシブな守備に苦しめられる場面が散見。ただ後半に盛り返し、勝ち切ったことは大きい。台風の影響でこの日の試合が延期となった首位の神戸と勝ち点33で並んだ。

 一方、前半から良いパフォーマンスを見せながら結果につなげられなかったFC東京のアルベル監督は、選手を称賛するとともに悔しさを口にした。

「11人で戦っている間にはサッカーのクオリティの部分で相手を大きく上回ることができていた。我々は勝ちに値するプレーをしていたと思います。去年のチャンピオンチームに対して11人がそろっている状態ではしっかり上回ることができていた、そのポジティブな感覚とともに今日は家路につきたい。試合の内容や展開にはその他の部分が影響したが、それについてはコメントしたくありません」

 良いプレーをしながら勝ち点を積み上げられなかったFC東京は12位へと、順位を一つ下げることになった。

▼出場メンバー
・FC東京:GKヤクブ・スウォビィク、DF長友佑都、森重真人、木本恭生、徳元悠平、MF小泉慶(46分:松木玖生)、青木拓矢(73分:東慶悟)、安部柊斗、FW仲川輝人(84分:アダイウトン)、ディエゴ・オリヴェイラ(73分:ペロッチ)、渡邊凌磨(66分:塚川孝輝)

・横浜FM:GK一森純、DF松原健、畠中槙之輔、エドゥアルド(64分:上島拓巳)、 永戸勝也、MF渡辺皓太(77分:藤田譲瑠チマ)、喜田拓也、西村拓真(64分:マルコス・ジュニオール)、FWヤン・マテウス(81分:水沼宏太)、アンデルソン・ロペス、エウベル(81分:宮市亮)