J1リーグ第11節、浦和レッズ対サンフレッチェ広島の未消化分が31日、埼玉スタジアムで行われた。消化試合数は浦和は13、広島は14と異なるものの、6位と4位の上位対決。優勝戦線に残っていくためにも互いに負けられない試合は、アディショナルタイム(AT)に浦和が逆転し、勝利を手にした。

上写真=勝利に貢献した浦和の伊藤敦樹(右/写真◎J .LEAGUE)

■2023年5月31日 明治安田生命J1リーグ第11節(@埼玉スタ/観衆20,266人)
 浦和 2−1 広島
 得点:(浦)酒井宏樹、伊藤敦樹
    (広)森島司

平日夜の熱い上位対決

 スコアが動いたのは後半早々の50分だ。アウェーチームがネットを揺らす。ドウグラス・ヴィエイラの巧みなフリックから左サイドで川村が抜け出し、ドリブルでボックス内に進入。右足で狙ったシュートはGK西川に弾かれたが、こぼれたところに森島が待っていた。冷静に蹴り込み、広島が先制。試合開始直後から前向きの守備から素早く攻撃に転じるプレーで浦和を苦しめていた広島が、素早い切り替えから狙い通りの得点を奪ったのだった。

 先制された浦和も黙ってはいない。67分に3枚替えを実施すると広島に圧力をかける。すると72分、関根、伊藤、酒井の素早いパス交換で守備網を突破し、ボックス内から酒井が狙いすましたシュートを放って同点に追いついてみせた。

 浦和はこの試合前の時点で首位神戸よりも2試合消化が少なく、広島も消化が1試合少ない。つまりここで勝ち点3を積めばその差をグッと縮められる状況であり、両チームとも勝利への意欲を全面に出してプレーした。残り10分を切っても足を止めることなく互いにゴールを目指した。

 一進一退の攻防が繰り広げられる中、8分と示されたアディショナルタイムにドラマが待っていた。90+2分、伊藤、安居と繋がれたボールを受け取った酒井が右から浮き球を供給。ボックス左にいたリンセンがヘッドで折り返すと、パスが展開される中でスルスルとボックス内まで進出していた伊藤がフリーで左足ボレー。ボールはゴール右へ吸い込まれ、浦和が土壇場で逆転に成功した。

「今日の試合は優勝するためには勝つしかなかった。最後の最後までみんなが諦めなかった結果だと思うのでよかったです」

 1ゴール1アシストの伊藤はそう言って、この試合は重要性を指摘していた。貴重な勝利をモノにした浦和は消化試合数が1試合少ない中で4位に浮上。勝ち点6差で首位に立つ神戸の背中が見えてきた。

▼出場メンバー
・浦和:GK西川周作、DF酒井宏樹、アレクサンダー・ショルツ、マリウス・ホイブラーテン、明本考浩、MF伊藤敦樹、岩尾憲(67分:ブライアン・リンセン)、ダヴィド・モーベルグ(67分:大久保智明)、安居海渡(90+5分:柴戸海)、関根貴大(82分:荻原拓也)、FWホセ・カンテ(67分:興梠慎三)

・広島:GK大迫敬介、DF住吉ジェラニレショーン、荒木隼人、佐々木翔、MF茶島雄介(71分:中野就斗)、松本泰志、野津田岳人(65分:エゼキエウ)、東俊希、森島司(89分:柴崎晃誠)、川村拓夢、FWナッシム・ベン・カリファ(46分:ドウグラス・ヴィエイラ)