川崎フロンターレは12日、国立競技場で『Jリーグ30周年記念スペシャルマッチ』と銘打たれた多摩川クラシコに臨み、FC東京に1−2で敗れた。前半25分で2点のリードを許す苦しい展開の中、1ゴールを返したのが今季、フロントラインの一角を任されているFW宮代大聖だった。

上写真=宮代大聖は1ゴールをスコア。だがチームは追加点を挙げられず、破れることになった(写真◎J .LEAGUE)

■2023年5月12日 明治安田生命J1リーグ第13節(@国立競技場/観衆56,705人)
 FC東京 2−1 川崎F
 得点:(F)徳元悠平、安部柊斗
    (川)宮代大聖

やりたいサッカーは確立できている

 前半から苦しい戦いを強いられた。自陣でのボール奪取からビルドアップを試みてもパスが乱れ、いい形でシュートに持ち込むことができない。川崎Fらしさが見られない展開の中で前半12分に先制点を決められ、そのおよそ10分後、25分にも追加点を許して2点のビハインドを負った。

 劣勢の中、気を吐いたのがこの日、3トップの真ん中でプレーした宮代だった。瀬古樹の縦パスを受けると相手DFに囲まれながらもボックス内に進入。シュートコースは限られていたが、鋭く右足を振り抜いてネットを揺らした(39分)。

「直前に決定機を外していましたし、どんどん貪欲に狙っていこうと思っていて。あそこは自信を持って打ちました」

 開幕から勝ち点が伸びずに苦しんできたチームは直近で3連勝を飾り、順位もグッと上げてこのFC東京との多摩川クラシコに臨んでいた。ここで勝利をつかみ、さらに上昇していきたいところだった。しかし、宮代のゴールでゲームの流れを完全に変えることはできず。後半、退場者(脇坂泰斗)を出したこともあってFC東京に押し切られることとなり、敗れてしまった。

「ああいう形で退場になってしまった部分もありましたけど、10人になっても自分たちのサッカーを展開できていたと思いますし、前半から後半みたいなサッカーを出していかなければいけなかったかなと思います」

 昨季の最終節(11月5日)、同じアウェーの多摩川クラシコで川崎Fは前半にGKのチョン・ソンリョンが退場し、苦しい戦いを強いられながらも3−2で勝ち切っていた。単純な比較はできないものの、この日の試合では攻め手が限られ、パスミスも散見。勝利への意欲を結果に結びつけることはできなかった。

「チームとしては、やりたいサッカーを確立できてきていると思うので、そこはネガティブにならず、個人個人がしっかりと課題に向き合っていければいいと思います」

 宮代はここまで13試合全てに出場し、5節のセレッソ大阪戦を除いて先発でプレーしてきた。その中でチームの進化を感じているという。ポジティブな要素は着実に増えている。

 一方で、自身で刻んだゴールはここまで4ゴールで、その数字には満足していない。「個人としてはゴールを決めるとか、フィニッシュにフォーカスしてやらなければいけない」。この日、宮代が打ったシュートは2本。そのうち1本をゴールにつなげたが、もっとできたとの思いも募る。

 一昨年は徳島、昨年は鳥栖にレンタル移籍して研鑽を積んだ。2年ぶりに復帰したチームで求められている役割は明確だ。

 チームを勝たせるために、浮上させるために、何よりゴールが必要なことは誰よりも本人が自覚している。