攻めて良し、守って良し。リーグ2連覇を狙う横浜F・マリノスは、ホーム初戦で浦和レッズをシャットアウトし、リーグ開幕から2連勝。ゴールマウスを守る新守護神のオビ・パウエル・オビンナは自信を深め、安堵の表情を浮かべていた。

上写真=浦和戦で無失点に貢献した横浜FMのGKオビンナ(写真◎J.LEAGUE)

もっと精度を上げていきたい

 今季初のクリーンシート達成。試合後、日産スタジアムの電光掲示板にゼロの数字が映し出されると、GKオビンナはファン・サポーターの歓声を聞きながら胸をなでおろした。

「ほっとしましたね。まずはゼロで終われたことが良かったです。なんとかゼロに抑えたいと思い、ゲームに入っていましたから」

 リーグ開幕の川崎フロンターレ戦(○2-1)は勝利こそ収めたものの、2点リードで迎えた終了間際に痛恨の失点。アディショナルタイムに1点差に迫られ、大きなプレッシャーにさらされたことが頭から離れなかったのだ。

 そして、迎えた2節の浦和戦は、前節以上に神経を研ぎ澄まし、最後まで集中した。センターバックの畠中慎之輔、角田涼太朗らともコミュニケーションを密に取り、うまく連係して守ることができたという。後半には裏に抜け出してきたダヴィド・モーベルグとの1対1も落ち着いてストップした。

「ツノ(角田)も対応してくれていたので、相手(モーベルグ)も自由にプレーできなかったと思います。ディフェンダーが最後まで寄せてくれていたので、相手もミスして足元にボールが入ったのかなと。それほど、難しいセーブではなかったです」

 193センチの長身を生かしたセービングは目を見張るばかり。セットプレーではペナルティーエリアの制空権を握り、チームに安心感をもたらしていた。昨季までは正GKとして君臨してきた高丘陽平(現バンクーバー・ホワイトキャップス=アメリカ)の控えだったものの、風格も漂ってきている。ただ、本人は現状に満足していない。2連勝に貢献しても、自らの課題を口にしていた。

「GKまでプレスをかけられたときにパスの選択をミスすることがありました。配球に関しても、もっと精度を上げていきたいです」

 無限の可能性を秘めた25歳は、謙虚に一歩一歩前進している。

取材◎杉園昌之