2023シーズン初の公式戦『FUJIFILM SUPER CUP』が11日、東京・国立競技場で開催され、J1王者の横浜F・マリノスが2−1で天皇杯王者のヴァンフォーレ甲府(J2)を下した。初優勝を果たした横浜FMの中で、存在感を示した一人が渡辺皓太だ。

上写真=ボランチとしてフル出場し、攻守に躍動した渡辺皓太(写真◎小山真司)

■2023年2月11日 FUJIFILM SUPER CUP(@国立競技場/観衆50,923人)
 横浜FM 2−1 甲府
 得点:(横)エウベル、西村拓真
    (甲)ピーター・ウタカ

来週までにしっかり合わせたい

 攻撃の局面では、スペースを見つけては動き、最終ラインからボールを引き出した。必要とあらば2CBの間に落ちてボールをピックアップ。とくに前半は甲府のプレスが激しかったこともあり、渡辺の選択とプレーがチームのビルドアップに欠かせなかった。ドイスボランチを組む喜田との連係もスムーズで、互いに役割を変えながらチームを前進させた。

 それでも甲府のソリッドな守備の前になかなかゴールをこじ開けることができなかったが、「チームとしても個人的にもスタジアムの雰囲気だったり、ピッチコンディションにうまく対応するのに時間がかかってしまった。ただ焦れずにプレーに集中すれば勝てる自信はあった」という。結果、チームは前半と後半に1ゴールずつを刻んで2−1で甲府を下した。渡辺は攻守に積極的に絡みながらフル出場を果たし、勝利に貢献した。

 横浜FMにとって6度目の挑戦で初めてスーパーカップを手にすることになった。J1連覇や複数タイトルを狙うために、弾みのつくシーズン最初の勝利になったと言えるだろう。渡辺も「タイトル獲得に懸ける思いがあった」と話し、喜びを口にしていたが、一方で内容面については反省点も多かったと話した。

「正直、このままだと厳しいと思います。もっとクオリティーを上げていかないと。相手のペースになる時間帯もありましたし、もっと自分たちでコントロールすることができれば、もっと圧倒できたかなと思います。勝てたのは良かったですけど」

 現状維持でタイトルを取れるほど、J1も、カップ戦も甘くはないと知っている。求めるのは、チームとしても個人としても、さらなる進化だ。

「一つのパスで味方を楽にさせてあげられるし、逆に苦しくさせてしまうこともある。立ち上がりはとくに(今日の環境に)慣れるまで時間がかかってしまったので、そういう少しのズレがありました。(J1が開幕する)来週までにしっかり合わせていきたい」

 攻守に関わるボランチを務める渡辺は、チームを機能させ、本来の力を引き出すという役割を担う。肝に銘じるように繰り返した反省の弁は、チームの主軸を担う覚悟の表れだろう。

 連覇のかかるJ1の開幕戦は2月17日。横浜FMは、アウェーで川崎Fと対戦する。