明治安田生命J1リーグは残り2試合。2位の川崎フロンターレが首位の横浜F・マリノスに勝ち点2差まで迫った状態で、10月29日に第33節を迎える。山根視来は迷うことなくこれまで以上にエンジン全開で、優勝を信じて突き進むつもりだ。

上写真=山根視来は「行ったり来たりのようなゲームは特長を発揮しやすい」と攻め合いを望む(写真◎J.LEAGUE)

「うらやましいな、とシンプルに」

 天皇杯とルヴァンカップのカップファイナルが続いて、しばしのブレイクを迎えていたJ1リーグ。首位の横浜F・マリノスを2位の川崎フロンターレが勝ち点2差まで追い詰めて、いよいよ10月29日に再開して残り2試合を戦う。

 2つの決勝戦を続けて見て、川崎Fの山根視来にはある感情が芽生えていた。

「天皇杯とルヴァンカップの決勝がありましたけど、広島さんがルヴァンカップで土壇場で逆転しているのを見て、優勝っていいなと思いました。まだ自分たちにもリーグ戦でチャンスがあるので逃したくない、タイトルを取って締めくくりたいという思いがすごく強くなりました」

 喜び、泣き、笑う選手たちを見て、自分の中に確かにあったタイトルへの渇望がさらに揺り動かされた。

「広島さんは天皇杯を逃したあとに、ルヴァンカップでああいう形で勝って、本当にうれしいだろうと想像してテレビを見ていました。自分たちは今年は苦しいシーズンを戦ってきて、いまこの順位にいてチャンスがある、という立場がそこに重なって見えました。うらやましいな、とシンプルに見ていました」

 アディショナルタイムに2点を奪って大逆転で優勝した広島の姿になぞらえて、自分たちも逆転して喜びたい。そのためには、ヴィッセル神戸とFC東京に負けるわけにはいかない。

「追う立場なので、自分たちからこのチャンスを取りこぼさないようにしようという意識です」

 その気持ちの強さのよりどころになっているのが、鬼木達監督の「奇跡は信じる人にしか起きない」の言葉だ。

「その言葉が出たおかげで、みんなのびのびプレーできたところがあって、当たって砕けろというときはメンタル的には楽な状態です。絶望的なところから(優勝に)いけたらかっこいいよね、と話して、勝ち点2差になって現実的になってきたいまからが大事です」

 そのために必要なのが、「試合の入りからエンジン全開で」という無遠慮だ。まずは神戸を今季ホーム最終戦で迎える。

「5連勝していて、3試合無失点ですが、あれだけの選手がいるので驚きはありません。難しい相手だし強いと思っています。そういう心構えで、いい選手がいるいいチームを相手に、自分たちが何をすれば勝ち点3を取れるかだけを考えています」

 次に喜ぶのは自分たちだ、と信じて、キックオフから一気に攻める。