明治安田生命J1リーグも残すところあと2試合。天皇杯、ルヴァンカップと2つのカップファイナルが続いて、中断していたリーグ戦が、いよいよ再開する。浦和レッズの西川周作は、優勝を決めにくる横浜F・マリノスを相手に、改めて気づいた自らの長所をぶつけていく。

上写真=西川周作が改めて確認したキックの高い精度で、残り2試合で攻める!(写真◎J.LEAGUE)

「変える」という弾力性

 2022年のJ1も、残すところあと2試合。浦和レッズが次に戦うのは、横浜F・マリノスだ。かねてからのライバルはいま、首位に立つ。10月29日のアウェーゲームで浦和が敗れ、2位の川崎フロンターレがヴィッセル神戸に引き分け以下で終えると、目の前で優勝を決められてしまう。それは許されない。

「選手として目の前で優勝を決められたくない強い思いがあります。マリノスと失点数を比べてもほぼ一緒ですが、攻撃力も守備力も素晴らしいチームとシーズン終盤に戦えることで、いまの力を示さなければいけない」

 浦和の失点は34で名古屋グランパスと並んでリークで2番目に少ない。横浜FMは33で最少。

「シーズンを戦う上で難しい時期はあって、なかなか勝ちきれず、点が入らなくて引き分けになる試合が多かったという印象です。でも、全員で守る意識は素晴らしいものがあるな、と、後ろから守りながら感じて助けられたことがたくさんありました」

 一方で、得点は浦和の46に対して横浜FMが63で、ここに差が出ている。

「攻撃に出ていくパワーがなくなってしまった試合もありました。プレッシングを仕掛けてくるチーム、引いてくるチームといろいろでしたが、そこで使い分けが自分たちからできれば、いい結果を出せたと思います。点を取らなければ勝つことは難しいですから、その意識は残り2試合で示さなければいけない。ゴールに向かっていく姿勢、前に前に行くことを表現したいと思います」

 相手の出方によって、テンポやパスの距離やスピードを変える必要を感じている。一本調子は禁物だ。その「変える」という弾力性は、数多く抱える自分たちのタレントに合わせても応用していかなければならない。

「前線にいる選手の特徴を見ながら戦い方を変えなければいけない試合もありました。前に速い選手がいるときにどういうサッカーがベストなのか、そこで中で判断を変えてやることができればよかったし、(リカルド・ロドリゲス)監督からもそういう提示はありました」

 それを改めて学んだのが、1-4の大敗を喫した10月1日のサンフレッチェ広島戦。しかし、1週間後のサガン鳥栖戦では2-1で勝ちきっている。

「広島戦では、スタイルを貫こうとしすぎて敗戦してしまいました。自分たちの良さが出なかったし、苦しいから前に行こう、背後を狙おうという発信や、自分を含めて後ろのポジションの選手が前を動かすアクションがあってもよかったという反省点がありました。鳥栖戦ではその反省を生かせたと思います」

 そのきっかけにしたいのが、自慢の左足だ。キック一つでスタンドにどよめきを起こすGKはなかなかいないだろう。

「自分の長所ってなんだろう、と考えたときに、ショートパスだけではなくて、一番怖いところに配球することだと改めて気づきました」

 残り2試合。攻める守護神が浦和の攻撃を起動する。