川崎フロンターレは明治安田生命J1リーグで優勝するために、勝利のみが求められている。GKチョン・ソンリョンが負傷で欠場する状況にも、丹野研太が代わってゴールを守っていく。出場することの幸せを実感しながら、無失点での勝利を追い求める意欲にあふれていた。

上写真=丹野研太は次の京都戦で無失点勝利を狙う(写真◎J.LEAGUE)

「バタバタしないような展開に」

 苦心のシーズンを送っているからこそ、言葉の重みが違う。

「優勝へ、僕らは勝ち続けるしかないし、試合に出たり優勝争いができること自体が幸せなので、かみ締めて大事に戦いたいと思っています」

 GK丹野研太はJ1第32節の清水エスパルス戦に出場して、3-2の勝利の一員になった。長くゴールを守ってきたチョン・ソンリョンが前節の北海道コンサドーレ札幌戦で負傷し、出番が巡ってきた。

 今季は8月27日の鹿島アントラーズ戦以来、7試合ぶり2試合目の出場だった。それ以外のほとんどの試合ではベンチで有事に備えてきた。その役割をまっとうしてきた自負と、試合に出たい思いを両方抱えながら、チームの一員として戦ってきたから、「幸せ」の濃度が違う。

「このチームは個人個人の意識が高くて向上心があります。みんなそういう姿勢なので負けないようにしていますし、このチームでもっとうまくなりたい、もっと強くなりたいという思いがあって取り組んでいるので、試合に出ていない分、日頃から励んでいかないといけなくて、そこは継続していくだけですね」

 試合に出場したからといって何かを変えることはないのは、これまで続けてきた準備に自信があるからこそだ。それでも、清水戦で喫した2失点に反省は残る。

「ここ数試合、失点が続いている状況があるので、無失点で抑えたい気持ちもあります。そして、魅力的なサッカーを見せたい思いがありますね」

 ここ4試合で8失点は明らかに多い。失点はGKだけの責任ではないものの、その多くを負うべきであるという意識は強い。次の相手は京都サンガF.C.で、同じくここ4試合を見ると得点はわずかに3だ。攻撃に悩みを抱えているが、彼らは彼らで残留のために直接的に勝ち点を求めてくる。もちろんこちらも勝たなければ、横浜F・マリノスに優勝を決められてしまう可能性がある。

「この前のエスパルスとは違って、圧をかけてくるチームだと思います。ビルドアップに入ってボールを動かすところと大きく変えるところとを使い分けて、バタバタしないような展開にできればいいと思います」

 確実なセーブとていねいなビルドアップで落ち着きをもたらして、無失点で勝利。それが、丹野の次のミッションである。