上写真=鬼木達監督が残り5試合で全勝を狙う(写真◎J.LEAGUE)
「ストロングを出させない」
残り5試合の状況で、川崎フロンターレは首位の横浜F・マリノスと勝ち点5差の2位。逆転3連覇へ向けて、すべて勝つしかない。
「僕はあきらめの悪い男ですからね」
鬼木達監督の目の奥が光る。
インターナショナルマッチウィークの中断明けは、10月1日に北海道コンサドーレ札幌とのアウェーゲームが待っている。例えば、6月18日の前回対戦では、5-2で勝利。ともに、攻撃の意欲をピッチに描くスタイルを掲げている。
「お互いに攻撃にフォーカスしているチームです。自分たちの戦いをどれだけできるか。自分たちもどれだけ攻撃的に戦えるか。主導権を握って戦える時間を増やせるか。守備も含めて、トータルで上回っていくのが大事です」
鬼木監督は攻め合いを歓迎だ。試合ごとに微調整を迫られるのは相手の攻撃への対応で、特徴は頭に入れておかなければならない。札幌で警戒すべきは、サイドからのクロス。
「裏返しのところで守備で言うと、札幌はクロスが多いチームなので、その対応は非常に重要です。順番としてはまずそのストロングを出させないこと、そしてクロスが上がってきたらしっかり対応しないと」
札幌が戦った直近の横浜F・マリノス戦では、左利きの金子拓郎を右のワイドへ、右利きのルーカス・フェルナンデスを左のワイドに起用した。ペトロヴィッチ監督は「左利きのストイチコフを右に、右利きのラウドルップを左に置いたクライフ監督時代のバルセロナ」をモチーフにしたと明かしている。
「確かにその試合では、両サイドからのクロスや揺さぶり、ドリブルも含めて非常に効果的だったと思います」とは、鬼木監督の分析。
「次の試合にどんなメンバーでくるかわかりませんが、そういうところまでできるだけボールを持っていかれないように、できるだけ相手コートでサッカーをすることが、どの試合でも大事です」
相手にどんな特徴があっても、事前に封じてしまうこと。それが、ゴールという目的のほかに、川崎Fが攻撃サッカーを仕掛けるもう一つの理由である。そこに大切なものを加えることを、選手に求めていく。
「そこプラス、なにかその試合の中で選手が見つけた即興性のようなものが出せればいい。それがサッカーの面白みですから」
ペトロヴィッチ監督も自分たちの強みで相手を上回る姿勢を鮮明にする指揮官だ。攻撃対攻撃の真っ向勝負。興味深い一戦が待っている。