上写真=知念慶のホームでのゴールは11カ月ぶりに(写真◎J.LEAGUE)
■2022年8月31日 J1リーグ第20節(等々力/13,923人)
川崎F 4-0 鳥栖
得点者:(川)知念慶、ジョアン・シミッチ、マルシーニョ、大島僚太
「久々のスタメンで不安もありました」
「明日、長女の3歳の誕生日なので、ゴールを決められて本当にうれしかったです」
チームを4連勝に導く先制ゴールは、愛娘への1日早いバースデープレゼント。川崎フロンターレのFW知念慶が、サガン鳥栖と戦った8月最後の日に最高の夜を過ごした。
序盤から攻め立てる川崎Fは26分、相手のパスミスを右サイドで拾った山根視来がワンタッチで前へ、家長昭博が得意の左足を警戒する相手を見て縦に抜け、右足でニアに鋭く送ると、マークについていたファン・ソッコの前に知念が一瞬で出て、ダイビングヘッドでゴール右に突き刺した。豪快な先制ゴールだ。
「視来くんがいい形で奪ってショートカウンターになって、マークしていた選手の背後から前にうまく入れて、アキさん(家長)もいいボールをくれました。久々の等々力のゴールで感情的になって……本当にうれしかった」
昨年9月26日以来、およそ11カ月ぶりのホームでのゴールを決めると、立ち上がってゴールの裏に走っていって両手で激しくガッツポーズ、仲間の祝福を受けたあと、高々と右手で3本指を立てた。娘の3歳を表すセレブレーションだ。
「久々のスタメンで不安もありましたけど、結果で示すことができて、僕自身は成長できたと思っています」
実に8試合ぶりの先発出場。抱えた不安の中身を正直に明かす。
「試合からしばらく離れていて、いまはチーム状態も良かったし、いい流れを崩さないようにしなければいけないというプレッシャーがありました」
流れを止めるどころか、ぐっと加速させた。このあと、ジョアン・シミッチ、マルシーニョ、大島僚太が決めて、4-0の圧勝。レアンドロ・ダミアンが負傷で離脱する中で、その活躍は頼もしい。
「ダミアンが離脱したことはチームとして痛いですけど、自分と(小林)悠さんがダミアンの分も頑張らないといけないと思います。通訳の方を通して、『知念と悠がいるから問題ない』とダミアンが言ってくれたと聞いたので、点を取ってチームの力になれるように走りたい」
湿度75%の蒸し暑さの中、キックオフから走り続けて、ついには足をつって74分に交代することになった。しかし、川崎Fの全16本のシュートのうち、最多の4本を放っている。積極性こそ背番号20の最大の魅力。
「個人としては、前半に2本、枠外にふかしてしまいました。枠内に入れれば何かが起こるから、入れないといけない」
その反省は、優勝をもぎ取るための残り9試合の糧になる。この勝利で暫定で首位に返り咲いた。
「誰がスタメンで出るかわからないけれど、次も中2日だし、いまチームはいい状態なので、勝てるようにいい準備をしたいと思います」
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE