明治安田生命J1リーグで8月31日に川崎フロンターレとサガン鳥栖が第20節の延期分を戦った。ともに過密日程で戦う中で、川崎Fが前半から圧倒して攻めて、前半に1点、後半に3点を決めて快勝。4連勝として、暫定ながら首位に返り咲いた。

上写真=川崎Fの大勝の締めくくりは大島僚太の一発。昨年7月以来のゴールにスタジアムが沸いた(写真◎J.LEAGUE)

■2022年8月31日 J1リーグ第20節(等々力/13,923人)
川崎F 4-0 鳥栖
得点者:(川)知念慶、ジョアン・シミッチ、マルシーニョ、大島僚太

「うまくいかなかった、それだけです」と川井監督

 川崎フロンターレの鬼木達監督が称賛したのは、「流動性」だった。

 GKチョン・ソンリョンの右サイドへのキックから、それは始まった。ジョアン・シミッチがヘッドでフリック、家長昭博とパス交換して、山根視来も加わって動かし、山根が左寄りの橘田健人に戻してサイドチェンジ。今度は車屋紳太郎、脇坂泰斗でつないで、中央に入っていた山根が受けて相手の左裏へスルーパス。潜り込んだマルシーニョがGK朴一圭との1対1を制してゴールに流し込んだ。

 複数の選手がポジションを動かしながら相手を翻弄し、まさに興奮を呼ぶパーフェクトなゴール。川崎Fが鮮やかなまでにサガン鳥栖を崩しきってみせた。

 ただ、マルシーニョが受けたところがオフサイドという判定で、ノーゴール。それでも、4ゴールの他にもタフな鳥栖を相手に圧倒したこの試合を象徴するようなシーンだった。

 ゴールラッシュの口火を切ったのは26分。鳥栖のパスミスを右サイドで山根がワンタッチで前へ。家長のクロスに知念慶がニアでダイビングヘッド。8試合ぶりの出場で結果を残してみせた。

 だからこそ、30分過ぎに4-2-3-1から3-4-2-1に立ち位置を変えて反撃を試みた鳥栖が、後半にどう盛り返すかが焦点になった。

 その鳥栖は西川潤と本田風智を投入して、再び4-2-3-1へ戻して勝負の後半に入った。ところが、川崎Fが出鼻をくじくのだ。後半開始直後の47分、右からのCKを脇坂が中央へ、谷口彰悟が跳んだその奥から入ってきたシミッチがヘッドでゴール左へと送り込み、今季自身リーグ初ゴールで2-0とリードを広げた。

 川崎Fは2点のリードからの試合運びに課題を抱えてきた。前節でも鹿島アントラーズに1点を返されてから防戦一方。しかしこの日はたたみかける。56分に相手のFKをブロックしてから脇坂が前線へ。マルシーニョが抜け出すと、飛び出してきた朴一圭の頭上を右のアウトサイドで抜くループシュートで仕留めてみせた。

 さらに87分には、左サイドから車屋のスルーパスで宮城天が抜け出してワンタッチでニアへ、小林悠が突っ込んでこぼれたところを、足を止めなかった大島僚太が蹴り込んで、自身今季初ゴールとなる4点目を決めた。5試合ぶりに4ゴールを集めて完勝だ。

 これで、試合数にばらつきがあって暫定ながら、ついに首位に返り咲いた。

「首位だとは思っていません」

 鬼木監督はそう引き締める。ただし、「首位のプライド」を持つ必要性を訴える。

「ただ、常に首位を目指して戦っているチームなので、試合数のことを気にしなければ望んでいるところに立つことができています。プレッシャーに感じずに、望む場所でどれだけやっていけるかは自分たち次第ですから、一つひとつ戦っていきたい」

 残り9試合のつばぜり合いが楽しみだ。

 一方で、大敗はしたものの、鳥栖の川井健太監督は「選手はファイトしてくれたし、失敗はあったものの、引きずらずに前へと戦ってくれたことに感謝したい」と受け止める。「これまで積み上げたことをやり続けることに関しては意識は良かったけれど、それが表現されたかと言えば表現されなかったと思います。残念ではありますが、こういう試合はあると思っている」と切り替えは早い。

「川崎さんは調子を上げていて、対策を練ってやり合うやり方もありましたが、見習いたいと思っていますので、ここでうまくかわしても何も残らない可能性があると思いました」と真っ向勝負を挑むことが、未来につながる確信があった。

「差がありましたが、その差は埋められると思います。今日に関してはうまくいかなかった、ただそれだけです」

 大敗からつかむ確かな手応えもあったことを示唆した。

現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE