上写真＝名古屋がJリーグから懲罰を受けた（写真◎J.LEAGUE）
「再発防止に努めてまいります」と小西社長
Jリーグが名古屋グランパスに懲罰を下した。けん責と罰金200万円がその内容。
7月16日に開催する予定だった第22節名古屋グランパス対川崎フロンターレ戦が中止になった。これは、名古屋で7月8日から14日までにトップチームの関係者合計9人が新型コロナウイルス感染症の陽性判定を受け、14日から16日までトップチームの活動停止を決定し、これに伴って、試合中止となった。
ところが、保健所から活動停止を指導されたという事実がなかったことがのちに判明したことで、問題となった。今回Jリーグは調査の結果、主に下記のような理由によって裁定委員会の諮問によって懲罰を決定した。
「真実は管轄保健所から指導を受けたものではなく、名古屋グランパスの対応方針を是認されたものにすぎないのに、新型コロナウイルス感染者の多発により管轄保健所から7月14日から3日間の活動停止の指導を受けた旨をJリーグに報告」したことによって、「チェアマンがエントリー資格を有する選手はいないものと誤信させ」「試合の中止を決定させ」たこと。さらには、「後日の調査によりチェアマンに誤った決定をさせたものではなかったことが判明したとはいえ、誤った報告に基づいてJリーグの最も基本的な活動である公式試合の中止を決定させた」こと。これが、「Jリーグの目的達成を妨げる行為に該当するとともに、Jクラブの最も基本的な義務である公式試合の日程遵守義務を安易に回避したのではないかとの疑念を内外に生ぜしめたものであり、Jリーグの信用を毀損する行為にも該当」すること。
「Jリーグ新型コロナウイルス感染症対応ガイドライン」では、感染症法に基づく陽性者や濃厚接触者に対する保健所等の公的機関からの自宅待機等の指示の有無、コロナウイルス感染症関連以外の理由によりエントリーができない選手（怪我人等）の有無について、各Jクラブが虚偽を述べないことが大前提となっている。ところが今回は、誤った報告によってその前提を揺るがすものだ、とJリーグが指摘している。
一方で、「弁護士等も交えた名古屋グランパス、川崎フロンターレ、管轄保健所等への聞き取り調査に基づき、名古屋グランパスが虚偽の報告を故意に行ったとは認められない」ことも明かし、当時の状況を調査した結果、「陽性者、濃厚接触者、怪我人等を除外すると実施要項第13条第4項に定めるエントリー下限人数をもともと満たせていなかったことが客観的に明らか」であること、「虚偽報告の有無にかかわらず、結果的に開催可否判断への影響が限定的であった」ことも明示している。
これを受けて、名古屋は再発防止策として
〈緊急・重要な事案が発生した際に、対応チームの組成・対応プロセスの検討・社内外の情報集約・進捗管理などを組織的に対応できる体制を再構築する〉
ことを発表している。小西工己社長はクラブの公式サイトで謝罪を表明した。
「このたびは、川崎フロンターレに関係する皆さま、グランパスファミリーの皆さま、Jリーグに関係する皆さま、そのほか関係各所の多くの皆さまに多大なご迷惑をおかけしましたことを、あらためて心よりお詫び申し上げます。
今回の事案におきましては、安易に日程遵守義務を回避したとの疑念を他のJクラブの皆さまやサポーターの皆さまなどに抱かれかねず、Jリーグの信用を大きく毀損するものであったことを真摯に受け止め、クラブとして二度とこのようなことが起こらないよう再発防止に努めてまいります」
また、川崎Fもこの裁定を受けて、吉田明宏社長のコメントを発表している。
「川崎フロンターレは、7月16日（土）に新型コロナウイルス感染症の影響により中止となりました、2022明治安田生命J1リーグ 第22節 名古屋グランパス戦に関して、Jリーグより裁定結果の通知を受けました。
クラブでは、本件発生からJリーグに対して、中止の判断に至った経緯、事象についての説明と公正かつ厳格な裁定を求めてまいりました。今回の事案に関して、あらためて公式試合がこのような形で中止となってしまったことを非常に残念に思っております。
また、試合を楽しみにしていた、そして来場を予定されていた多くのファン、サポーターの皆様にご迷惑、ご心配をおかけしたことに関して、大変申し訳なく感じております。
川崎フロンターレは、これからもフットボールに真摯に向き合い、目標であるリーグタイトルの獲得に向けて、応援してくださるすべての皆様と共に戦ってまいります」
なお、代替試合は、9月14日19時30分キックオフで、豊田スタジアムで開催される。