明治安田生命J1リーグは8月26日、27日に第27節を迎えた。3連覇を狙う4位の川崎フロンターレは3位の鹿島アントラーズと激突。川崎Fが前半の早い時間に2点をリードしたが、鹿島が後半に猛攻を仕掛けて1点差に。そこからさらにパワーで押し込んだが、最後の最後に川崎Fが守りきって、貴重な勝ち点3を手に入れた。

上写真=ともに出し尽くした90分は見ごたえたっぷり。川崎Fが逃げ切った(写真◎J.LEAGUE)

■2022年8月27日 J1リーグ第27節(等々力/20,757人)
川崎F 2-1 鹿島
得点者:(川)家長昭博、脇坂泰斗
    (鹿)仲間隼斗

両監督とも「自らの責任」

 鹿島アントラーズの岩政大樹監督が「負けたのはすべて私の責任」と言えば、川崎フロンターレの鬼木達監督も「自分のマネジメントで、もっと楽に勝たせてあげなければいけなかった」と振り返る。どちらにとっても、拮抗した展開を自分たちの流れに手繰り寄せきれなかった90分だった、ということを意味しているだろう。

 鹿島はアルトゥール・カイキにFWのポジションを任せて、自由に立ち位置を変える鈴木優磨と前線を組ませた。中盤をダイヤモンド型に配して、仲間隼斗がダイヤモンドヘッドに。2トップの前に出たり脇に流れたりと流動的で、前線の3人で撹乱を狙ってきた。その後ろには中央にディエゴ・ピトゥカを立たせ、右に樋口雄太、左に和泉竜司。この左右のMFが、守備では川崎Fのインサイドハーフ、脇坂泰斗と橘田健人をチェックして、マイボールになったらポジションを一列上げて、アンカーのジョアン・シミッチの横のスペースを取っていった。

 鬼木達監督が「襲いかかるようにいこう」と送り出した川崎Fが、その鹿島の狙いが機能する前に、得意とする右サイドのトライアングルで破った。思うようにパスをつなげない鹿島を見て、マルシーニョが猛然とGKに迫ったのが6分のこと。キックミスを拾って山根視来、脇坂、家長昭博でボールを動かし、最後はニアゾーンに潜り込んだ家長をディエゴ・ピトゥカが手で引き倒してPKに。これを家長が左上を狙いすまして決め、8分に先制した。

 14分には脇坂が左からのFKを低く蹴って、そのままゴール右に飛び込む追加点。前半は川崎Fが主導権を握りつつ、鹿島も反攻の姿勢を見せながら終えた。

 ハーフタイムを挟むと、鹿島の勢いが倍増する。ビハインドを追う立場だから当然、立ち上がりからフルスロットル。岩政監督が「前半は守備のタスクのために立ち位置を取っていたが、後半は攻撃に振り切った」といわば選手たちのリミッターを切って動かしたことで、キックオフから押し込み続けた。それが実ったのが51分だ。

 左の広瀬陸斗に展開してから内側で受けた樋口が中を見て鋭いセンタリングを送ると、相手の手前に一歩入った仲間がヘッドでコースを変えて、ゴール右へと送り込んだ。ここからさらに、鈴木がボールに絡む回数が増えたことで時間を作って、全体が前向きに押し込む猶予を生み出した。

 慌てたのは川崎Fだ。鹿島のパワーに後手を踏んで自陣に押し下げられ、奪っても珍しくパスがつながらずに前進できない。「後半にもう一度、強気でいきたいと思ったが、エンジンをかけきれなかった」と鬼木監督は悔やみ、交代選手を駆使しながらフレッシュさを何とか保って、鹿島の攻撃をすんでのところで跳ね返し続けた。

 鹿島はセンターバックの裏側へ鋭い斜めのクロスを多用して中央を揺さぶり、川崎Fのラインを押し下げては、その手前にできるスペースを和泉や樋口が狙って、ゴールに迫っていった。だが、岩政監督は「このサッカーをしながら得点までしなければいけないし、仕留めきらなければいけない」と、もう1点が遠かった。

 川崎Fは鹿島のパワープレーを跳ね返すために、90分に山村和也を入れて5バックにするほど追い詰められた。それでも、鬼木監督は「準備していた形ではなかったが、勝ちながら成長したい」と起用の理由を明かし、勝利のために意地を見せた。

 これで順位が入れ替わり、川崎Fが3位、鹿島が4位になった。試合数にばらつきはあるが、「優勝を狙う上で重要なゲームだと思っていました」と鬼木監督が力を込めた一戦をクリアし、川崎Fが3連覇へ粘りの前進を見せた。

現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE