川崎フロンターレが3連覇へ向けて、残り11試合のスパートをかける。今年は上位を追いかける立場で、鹿島アントラーズ、サガン鳥栖、湘南ベルマーレとよく走るチームが相手の3連戦が待ち受けるが、家長昭博は泰然自若。「いつもどおり」の存在感がチームを支える。

上写真=家長昭博は平然と戦うことで持っている力を出していく(写真◎J.LEAGUE)

「それは永遠の課題として」

「ご飯を食べて、練習して、寝るだけですよ」

 川崎フロンターレはJ1で3試合消化が少ない状況で、4位。ここ2年はリーグを引っ張るトップランナーとして駆け抜けてきたが、今季は追う立場だ。ここから先に大切にすべきことを家長昭博に聞くと、最高の答えが返ってきた。

 つまりは、いつもどおり、ということだろう。

 8月7日、首位の横浜F・マリノス戦で、ジェジエウの劇的な終了間際の決勝点を自らのクロスでアシストして2-1で勝利をもぎ取った直後、記者会見でこんなことを話していた。

「後ろからつなぐ安定感はまだまだ足りないと思います。まだ慌ててしまったり、試合の中で頑張るところ履き違えていたり」

 ルヴァンカップでは敗退の憂き目にあったが、リーグ戦としてはその次のアビスパ福岡戦で4-0で完勝した。自らPKを決めるなど、すべてのゴールに絡んだプレーは圧巻だったが、この間、チームにはどんな進歩が見られただろうか。

「まだまだゲームをコントロールできてはいないと思います。勝った負けただけで周りの印象は変わるのでごまかすことができるんですけど、内容とか進め方一つをとっても、求められているところに達していないと思っています。まだ大きく何かが変わったわけではないですね」

 とはいえ、悲観的になっているわけではない。

「チームとしても個人としても、もっともっと余裕を持ってプレーできるようにしたいですね。まだ足りないけれど、それは永遠の課題として持っていなければいけないことですから」

 順位表のトップを、そしてさらにその上を見ているからこそ生まれる視点。そのためのチームへの働きかけは「試合中にいろいろ話すこと」だという。

 次の難敵、鹿島アントラーズを前にしても、姿勢は同じだ。「最近のゲームを見ていないので詳しくはわかりませんが」と前置きした上で、鹿島の警戒すべき点を口にする。

「常に対戦するにあたって嫌なチームですし、フィジカルが強かったりゲームをしていても威圧感があって、それはいまも変わらずあると思っています」

 その威圧感をするりとかわすのが、家長の真骨頂。まさに「いつもどおり」のスタンスが生きてくる。

「変わらずに勝ちにいきたいと思いますし、残り試合数も少ないので、一戦一戦大切に戦っていきたい」

 いかにいつもどおりに戦うか。とても難しいことだからこそ、家長は今日も挑戦する。