8月22日のAFCチャンピオンズリーグ準々決勝で、全北現代がヴィッセル神戸を延長の末に3-1で下して準決勝へと勝ち進んだ。このチームのキャプテンは、キム・ジンス。アルビレックス新潟でプロのキャリアをスタートさせて、神戸でプレーする新潟出身の酒井高徳と飯野七聖との「再会」を喜んだ。

上写真=キム・ジンスは全北現代のキャプテンマークを巻いて勝利に貢献した(写真◎AFC)

■2022年8月22日 ACL準々決勝(埼玉/6,156人)
神戸(日本)1-3〈延長〉全北現代(韓国)
得点者:(神)汰木康也
    (全)マドウ・バロウ、グスタボ、ムン・ソンミン

「実際に試合をしてすごくいい選手だと」

 キム・ジンスは2012年に韓国の慶煕大からアルビレックス新潟に加わって、プロのキャリアをスタートさせた。当時は19歳。14年夏にドイツのホッフェンハイムに移籍するまで、左サイドバックとして自慢の左足を武器にJ1で戦った。

 この新潟の左サイドバックのポジション、キム・ジンスが加入する前は酒井高徳が務めていた。

「高徳選手がドイツに行ったので、僕が新潟に入りました。そこからずっと連絡をするようになって、僕がドイツ(ホッフェンハイム)に行っても連絡していました」

 ポジションを受け継いできた選手同士が、ACLの舞台で対戦することになった。

 もう一人の「新潟つながり」が、飯野七聖。この夏にサガン鳥栖から神戸に加わって、全北現代戦では後半開始から右のワイドアタッカーとしてピッチに入った。キム・ジンスと直接対決する役割だ。

「神戸の選手は全員分析していましたが、特に2番と10番を警戒していました」

 10番の大迫勇也はベンチ外だったが、2番は飯野。何度も勝負を仕掛けあって、後半のホットエリアになった。キム・ジンスが新潟でプレーしているときに、飯野は新潟のユースにいた。試合前日会見では「成長した姿というか、あの頃とは全然違うというところを見せたい」と話していた。キム・ジンスはどう感じたか。

 当時はトップとユースで特別に面識はなく、「正直なところ、覚えてはいないですけど」と苦笑いだったが、「今日、実際に試合をしてすごくいい選手だと思いました」と高評価だ。

「速い選手ですから、待っておくか挑戦するかを判断しました。スピードを出させないことが大事ですから」

 試合は全北現代が3-1で勝ったから、キム・ジンスに軍配だ。

「うれしかったですね。新潟出身の選手が2人いて戦えて、幸せな気持ちです」

 試合後には「高徳さんが、最後まで頑張ってと言ってくれました」と直接メッセージを受け取った。ACL東地区の戦いとしては「最後」となるのが、8月25日の準決勝だ。今度は、同時期にドイツでプレーしていた酒井宏樹がいる浦和レッズが立ちはだかる。

取材◎平澤大輔 写真◎AFC