柏レイソルでは絶対的GKキム・スンギュが移籍して、代わってゴールを守るのが佐々木雅士だ。U-21日本代表の一員でもあり、輝く未来に向かって進む20歳。まさに覚醒の瞬間を迎えている。

上写真=佐々木雅士が大敗をきっかけに気づいたものとは(写真◎J.LEAGUE)

上げることと下げさせないこと

 J1第21節サガン鳥栖戦、第22節北海道コンサドーレ札幌戦、第23節ヴィッセル神戸戦。柏レイソルは3試合続けて1-0で勝利を収めている。堅い守備と高い集中力の果実としてのウノゼロだ。

 若きGK佐々木雅士は「声」に勝因の一端を感じている。

「マリノスに0-4で負けてからコーチングがよくなった手応えがあるんです。ディフェンダーや中盤の選手が自分の声を気にしてくれているのを感じていて、それが無失点の3連勝につながっていると思います」

 なぜ大敗がきっかけとなったのか。そこで逃げずに細やかに反省点を探っていくと、見えなかったものが見えてきたからだという。

「マリノス戦ではあからさまに直さなければいけないプレーがいくつかあって、それを(GKコーチの井上)敬太さんと振り返りながら反省点を出していってから、すごく変わったなと。それまでは試合中に意識できていなかったポイントがあって、これまでがダメだったから変えたのではなくて、見えていなかったものが見えるようになったから、声が出せるようになった感じです」

 まさしく覚醒の瞬間。その「見えるようになったもの」とは?

「良くなっているのは、ディフェンスラインを上げることと下げさせないこと。ラインが下がれば下がるほど相手に好きにやらせるスペースができてしまうので、なるべく下げずにディフェンダーが強く出ていけるようなコーチングを意識しています」

 スペースを与えないためだけではなく、DFが積極的にボールにアタックに向かえるようにするラインコントロールが必要だと気づいたのだ。

 もう一つ、攻撃の第一歩としての役割も自らに強く求める。

「神戸戦は走らされて足がつる選手がいて、最後はなかなかプレッシャーに行けませんでした。自分がボールを持ったときにポジションを早く取って、相手のプレッシャーをかいくぐれる時間を増やさないと、神戸戦のようにロングボールを蹴るばかりになってしまいます」

 自分が最初にどこに、どのタイミングでボールを届けるかによって、敵のプレスの圧力を減じることができるというわけだ。

「プレッシャーを引きつけさせるような、自分から蹴るのではなく一度センターバックにつないで食いついてきたところで背後を狙ったりできれば。うちのセンターバックもそこは見えていて、ターンして背後を狙っているので、うまくつけられればいいと思います」

 キム・スンギュがいなくなったから勝てなくなった、と言わせたくない。次の相手、京都サンガF.C.から狙うのは、もちろん、4試合連続無失点勝利である。