FC東京は8月7日に明治安田生命J1リーグ第24節で清水エスパルスとのホームゲームを迎える。前節ではサンフレッチェ広島と戦い、アルベル監督もお互いに攻め合う展開を喜んだが、自らを「リアリスタ」と表現して、今季2度目の3連勝を視野に入れる。

上写真=アルベル監督は広島戦で両チームに生まれた3つのゴールを「すべてゴラッソだった」と称えた(写真提供◎FC東京)

「勝ち点を重ねて落ち着いて仕事に励む」

 FC東京は7月30日、J1第23節のサンフレッチェ広島戦で、ものすごいゴールを食らった。40分、森島司の30メートルほどからの強烈なミドルシュートがゴール左に突き刺さった。

「基本的に失点というのは、われわれの守備面での調整不足が理由です。どのようなゴールもそうです」

 アルベル監督はその瞬間を冷静に振り返る。ミスからボールが相手に渡り、そこから最終ラインの手前のスペースを使われた。ボールへの寄せが一瞬、甘くなってシュートを打たれている。

「ただ、ゴールを決めるにはその選手のクオリティーの高さが重要になってきます。あの距離からあのスピードでサイドに決めた、素晴らしいゴールでした。攻撃的なサッカーを目指すチームがお互いに表現した試合で、生まれた3つのゴールはすべて素晴らしかった」

 Jリーグも公式ツイッターで「Jリーグ今週のTOP5ゴール」のうち上位3つを、この試合の森島司の先制点、ディエゴ・オリヴェイラの同点弾、アダイウトンの突破からの逆転ゴールの順で選出している。

 攻撃的で魅力的なスタイルをこよなく愛するアルベル監督からすれば、(もちろん、勝利を収めたからでもあるが)この90分に大きな価値を見出している。

「守備面でのミスが重なり、相手がゴールを決めるためのクオリティーが低いにもかかわらず決められてしまうのであれば、決められた側の監督として怒りが大きくなるのは当然です。でも、この試合で生まれたのはすべてゴラッソでした」

 その美しさが、お互いに自分たちの良さを出しながら攻めあった充実の90分の証明だ。

 とはいえ、それだけがプロの監督の存在意義ではないとも話す。

「私はプロの監督として、就任した初日から言い続けていることに集中しています。試合に勝った負けたで進むべき道を変えることはしません」

「ただし、私はリアリスタ(現実主義者)としても、選手の特徴を含めた上で勝負にこだわっていきたいと思っています。シーズンの折り返しを過ぎたいまの時期に勝ち点が少なければ、ナーバスになるものです。スタイルにこだわりすぎて勝ち点が少なければ、落ち着いて仕事ができません。だから、勝ち点を重ねて落ち着いて仕事に励む状況を作ることも大事なのです」

 23試合を終えて勝ち点は35で7位。残り11試合で首位とは13ポイントの開きがあるものの、AFCチャンピオンズリーグ出場権を得られる3位まではわずかに4差だ。落ち着きをもたらすには十分なポイントをその手に抱えている。

 週末には清水エスパルスとのホームゲームが待つ。

「J1はとても拮抗したリーグで、清水には攻撃のクオリティーの高い選手が前線に揃っています。だからこそ、順位表に騙されてはいけない」

 清水は勝ち点21で最下位。

「首位が降格争いをしているチームにやられるのがこのリーグです。だからこそ、私はいつも同じメッセージを伝え続けるつもりです。今シーズンの目標は日々成長することです。ベースを構築し、スタイルをより安定させるために時間かけて成長すること。それ以外にありません」

 成長を見せるには、勝利がなによりだ。前回のアウェーでの対戦では3-0で快勝した相手に、ホームゲーム7つ目の白星を手に入れてみせる。