首位に立つ横浜F・マリノスはJ1リーグ第23節で2位鹿島アントラーズを2-0で下し、勝ち点差を8に広げた。その試合後、先日の日本代表戦で負傷した宮市亮がマイクでファン・サポーターに挨拶。前向きな言葉を口にした。

上写真=鹿島戦の試合後、チームメイトと抱き合う宮市亮(写真◎J.LEAGUE)

いいサポートをして待つだけです(岩田)

 横浜FMが鹿島との首位攻防戦を3-0で制した試合後、この日欠場した宮市がマイクでファン・サポーターに挨拶した。先日のE-1選手権の韓国戦(27日)で右ヒザ前十字靭帯断裂の重傷を負い、近日中に手術することが発表されていた。

「最高の試合、ありがとうございました。正直、こんなサプライズをしてくれるとは思わなかった、本当にうれしいです。何よりみんなが素晴らしいプレーを見せてくれたので、それに尽きると思います。まだまだ、長い道のりですけど、頑張っていきましょう」

 涙ながらの言葉に、スタンドのファン・サポーターも大きな拍手で答えた。

 この日は試合前の練習時に選手たちが17番のユニフォームを着て登場。試合後は円陣を組み、宮市の挨拶を見守った。

 宮市は過去にも左右ともヒザの前十字靭帯を断裂しながらそのたびにはい上がってきた。昨夏に横浜FMに加わり、今季は持ち前のスピードでチームの躍進に貢献。この7月にE-1選手権を戦う日本代表に復帰を果たした。

 だが、またもや大きなケガを負うことになってしまった。

 今回の代表活動中には「ヒザの前十字靭帯を3回目に損傷したときに、ドイツでこのまま手術したら引退しなければいけないという話もされて、契約も切れる段階だったので、そのままキャリアが終わってしまうかもしれませんでした。当たり前にプロとしていられるのが、当たり前のことではないと身を持って体験してから、日々感謝できるようになりました」と語っていた。そして「感謝の姿勢はピッチの上で見せるしかないと思います。いまケガで苦しんでいるアスリート、小学生から学生までもたくさんいると思いますけど、リハビリの時間がいつか報われる時間が来ます。苦しいときもあると思うけれど、ほとんど引退宣告された選手が代表にまた入れるチャンスというのは、続けていればあるんです。だから、勇気づけるプレーしていきたい」と自らがピッチに立つことで感謝の思いを首位に伝え、元気や勇気をもたらしたいと話していた。

 そんな宮市の思いを知る横浜FMの仲間たちは、自分にやれること、チームとしてやるべきことをしっかりやっていくと口をそろえた。岩田智輝は「今日は亮くんのために出し切って、どんな形でもいいので勝つことだけを考えていたので、勝てて良かった」と鹿島戦の勝利の意味を語り、「亮くんのSNSでも『引退を考えた』とのメッセージがありましたが、ケガをした後に話した中でもそのようなことを言っていて、かける言葉がありませんでした。その中でも、復帰に向けてのリハビリを決断してくれたました。自分たちは良いサポートをして待つだけだと思っています」と支えていく思いを口にした。

 水沼宏太はこういった。

「自分が経験したことのないようなことを亮は何回も経験して、それを乗り越えてきて代表まで上り詰めて、またこうなってしまって。本当に悔しいと思う。また一緒にピッチに立てるように僕自身ももっともっと頑張ってやり続けないといけないと思うし、とにかく今年優勝して、高いレベル、高い場所で一緒にプレーできるようにやっていければと思っています」

 チームとして結果を出し、より高いレベルで宮市の復帰を待つーー。横浜FMに関わる人々の思いは一つだろう。

『亮 どんな時も君は一人じゃない』と書かれたユニフォームを着て選手は宮市に対してサポートの意思を示した(写真◎J.LEAGUE)