『PSGジャパンツアー2022」が20日、開幕した。国立競技場でパリ・サンジェルマン(PSG)と2020、21シーズンのJリーグ王者・川崎フロンターレが対戦。結果はPSGがメッシとカリムエンドの2ゴールで勝ち切った。

上写真=2ゴールに絡んだメッシ(写真◎Getty Images)

■7月20日 PSGジャパンツアー2022第1戦(@国立/観衆64,922人)
パリ・サンジェルマン 2-1 川崎F
得点:(P)リオネル・メッシ、アルノー・カリムエンド
   (川)山村和也

前半はメッシ、ネイマール、エンバペがそろう

 PSGにとっては新シーズンに入っての2試合目。初戦となった15日のUSクヴィイー(リーグドゥ)戦は2-0で勝利を飾ったものの、エムバペやネイマールは出場せず、メッシも前半のみのプレーと文字通りの試運転の意味合いが強かった。

 今回のジャパンツアー初戦となった川崎F戦ではメッシに加えてエンバペ、ネイマールも先発。今季初めてのMNMそろい踏みとなった。国立競技場に詰めかけた6万4922人の観客がどよめいたのも、やはりその3人がボールを持った時だ。

 ネイマールを頂点にメッシとエンバペがその背後に2シャドーとして並ぶ3-4-2-1システムは、攻めにかかったときにはさすがの迫力を見せていた。メッシは中間ポジションを探しては動き、ネイマールは周囲との関係の中で絶えず位置を修正して攻撃を形づくっていく。そしてエムバペである。左ウイングバックのヌーノ・メンデスが幅を取れば内で突破を図り、機に応じてより外に構えてボールを呼び込み、仕掛けを試みた。28分のシーンでは、鋭い動き出しでシュートコースを生み、強烈な一発を放つ。GKチョン・ソンリョンのセーブに遭ってネットは揺らせなかったものの、さすがのプレーを見せつけた。

 相手の好守になかなかゴールをこじ開けられない中、最初にスコアを動かしたのは、やはりメッシだった。32分、エンバペの左からのクロスをハキミが落とし、利き足ではない右足を振り抜くと、相手に当たってコールが変わり、ボールはゴールに吸い込まれた。川崎Fも粘り強い守備を見せていたが、ダイレクトパスを挟むことでメッシはフリーになり、右足を振ることができていた。

 後半も、PSGが先にネットを揺らす。今度はメッシがお膳立て役となった。ボックス付近までドリブルでボールを運び、左サイドのベルナトに展開。再びボールを引き取るとワンツーを成立させて、最後はベルナトのパスをカリムエンドが蹴り込み、2-0とした(58分)。

 前半のみでネイマールやエンバペらは交代していたが、それでも機を逃さないあたりはさすがだった。ただ一方で、クリストフ・ガルティエ新監督は新システムにトライしている中で「バランスが取れない面があった」と、試合後の会見では修正点に言及。選手を次々と交代したこと、さらにリードを奪ったことで後半ややペースダウンした面もあったにせよ、川崎Fにチャンスを与えすぎた面があるとも語った。実際、84分には左CKの流れから守備陣の足が止まり、山村和也にヘディングを決められ、1失点を喫している。

 今季2試合目の調整試合を終え、3バックの運用やプレスのかけ方など、7月30日のスーパーカップ、6日のリーグアン開幕戦に向けて、まだまだ詰めるべき点は多いというのが指揮官の見立て。「右サイドのポリバレントな選手の発掘」もテーマの一つとした。ほぼベストと言っていいメンバーが出場した前半も、個の力による即興性には唸らされたものの、さすがに本領発揮には程遠かった。ただ、指揮官の言葉通りに、融合が進み、攻守のバランスを手に入れられれば、との期待を抱かせた。それこそが新銀河系と言われるチームが近年直面してきた最も難しい問題とも言える。新監督に期待される点もまさにそこだろう。国内最強のさらにその先、ヨーロッパの頂点に立つという大目標がPSGにはある。

 チームはこの後も日本で合宿を続け、23日に浦和戦、25日にG大阪戦に臨む。課題を修正し、長いシーズンを戦い抜く武器を磨き、バランスの獲得を図っていく。