川崎フロンターレが4ゴールで快勝だ。7月9日の明治安田生命J1リーグ第21節で、ガンバ大阪を下した一戦は、レアンドロ・ダミアンとマルシーニョがそれぞれのゴールをお膳立てし合う活躍だった。ゴール不足に悩まされたチームの、まさに福音だ。

上写真=レアンドロ・ダミアンとマルシーニョが抱き合って喜ぶ。これからも続けたい(写真◎J.LEAGUE)

■2022年7月9日 J1リーグ第21節(等々力/18,466人)
川崎F 4-0 G大阪
得点者:(川)レアンドロ・ダミアン、マルシーニョ、脇坂泰斗、家長昭博

「最初はシュートを打とうとしたけれど」

 ゴールができない川崎フロンターレは、川崎フロンターレではない。だが、今季は19試合で27ゴールで、1試合平均で約1.42点は、昨年の約2.13、一昨年の約2.59に比べて少なすぎる。

 これまでおとなしかった分も、とガンバ大阪戦ではじけたのが、ブラジリアンコンビだ。レアンドロ・ダミアンとマルシーニョ!

 始まりは6分だ。チャナティップが左のオープンスペースに浮き球のパスを送って、マルシーニョを走らせた。中央にレアンドロ・ダミアンがいるのを見て、テクニカルなパスを披露する。右足のアウトサイドでワンタッチで押し出したボールをDFとGKの間のスペースに滑り込ませて、走り込むレアンドロ・ダミアンにピタリと合わせた。これを右足できっちりと蹴り込んで、レアンドロ・ダミアンに実に3カ月ぶり、10試合ぶりのゴールが生まれた。

「そんなに長い間、なかったでしたっけ(笑)? ゴールだけではなく、どんな形でもチームの勝利に貢献したいので、辛抱強くやってきた結果、ゴールという形で出たのかなと思っています」とレアンドロ・ダミアン。

「あのようなパターン練習はいつもしていました。チャナが前を向いたときに動き出すのはもう体に染みついていますし、あのタイミングでダミアンが入ってくるのも理解しています」とマルシーニョ。

 20分にはレアンドロ・ダミアンが「返礼」のアシストだ。ペナルティーエリアの中央にポジションを取った瞬間に、脇坂泰斗から鋭いくさびのパスが差し込まれた。これを収めたときにボールが浮いたが、これを利用してシュートフェイントにしてから左に走り込んだマルシーニョに短いスルーパス。左足で狭い方のニアサイドを確実に射抜くフィニッシュで、2-0としてみせた。

「私もダミアンも、またゴールを取り始めなければいけないと思っていました。大事な試合だという共通理解がチームにあった中で得点できたことはうれしいです。ゴールでもアシストでも、お互いに良いプレーができればいいですし、これからも今日のようなゲームを続けたい」とマルシーニョ。

「最初はシュートを打とうとしたけれど、マルシーニョが見えたので冷静にパスにしました」とレアンドロ・ダミアン。

 いや、これで終わりではなかった。

 30分に左サイド深くを取った佐々木旭のセンタリングに、マルシーニョがシュート、と思わせてスルーして、脇坂が左足で蹴り込む3点目が生まれた。記録としては残らないが、見事な「アシスト」だ。

「ボールが来る前から泰斗から声がかかっていて、そうやってコミュニケーションが取れれば自然とゴールが生まれてくると思っています。アシストとして記録してくれたらうれしいけれど」とマルシーニョは笑う。

 この試合はレアンドロ・ダミアンが4試合ぶり、マルシーニョが5試合ぶりの先発だった。久々にキックオフからピッチに立って、お互いにゴールをプレゼントし合ってともに1得点1アシスト、派手にアピールしてみせた。

 チームにとっても2人にとっても、復調のきっかけにはふさわしい。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE