上写真＝佐々木雅士はセットプレーからの失点で「もっと突き詰めないと」（写真◎J.LEAGUE）
■2022年7月2日 J1リーグ第19節（三協F柏/12,462人）
柏 1-2 鹿島
得点者：（柏）武藤雄樹
（鹿）キム・ミンテ、エヴェラウド
「もう一つギアを上げられるような声掛けを」
「止めてこそレイソルのキーパーにふさわしい」
柏レイソルの若き守護神、佐々木雅士が悔やんだのは、82分だ。鹿島アントラーズに先制されながら武藤雄樹のゴールで追いついたが、鈴木優磨の突破に上島拓巳が接触して倒し、PKを与えてしまった。勝敗を分ける際のシーン。キッカーはエヴェラウド。
「スカウティングでエヴェラウドは自分から見て右に蹴ることが多いことはわかっていました。でも、早く動いたら逆にやられるので、早く動きすぎないことを意識しました」
まさにそのとおりに自分の右側に蹴ってきて、佐々木も反応した。両手を伸ばして触った。しかし、ボールの勢いが勝って決められた。
「ボールに触ったけれど、かき出せませんでした。ただ、仕方ないと思って次に切り替えようという気持ちでした」
それを止めてこそレイソルのキーパー、の言葉からは、まだまだ伸びていく必要があると自分に言い聞かせているようだった。
6月はU-21日本代表の一員としてU-23アジアカップに参加したが、出場はなかった。だからまずは、柏で存在感を示す必要があった。
鹿島は執拗にロングボールを蹴ってきて、柏の最終ラインを押し下げようとしてきた。しかし、この日の5バックは強気に前へ前へとコンパクトな陣形を保った。背後に佐々木が構えている信頼感もあっただろう。何度もペナルティーエリアを飛び出してはクリアして、ロングボールの効力を消していった。前半のアディショナルタイムには土居聖真との1対1に恐れずに飛び出して、シュートをきっちりブロックするビッグセーブも見せた。
しかし、ここで与えたCKから先制ゴールを許したことが悔しかった。
「こちらの攻撃の時間が長かったし、前半の最後にコーナーから1本、スキを与えて失点してしまいました。もっと突き詰めていかなければいけないと思います」
「前節もフリーキックからやられて、昨日もしっかりセットプレーの練習をしました。気になる点はコミュニケーションを取りながらやっていたけれど、集中が切れやすい時間にもう一つギアを上げられるような声掛けを、自分も含めてチーム全体でやらないと」
20歳のGKにとっては一瞬一瞬が学びだ。「武藤さんが決めて追いついて、そこから逆転できるチームになれると思いますし、最後に勝ちきれるチームになっていかないとなと思いました」という思いを胸に、また次へと向かっていく。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE