サンフレッチェ広島FW棚田遼が、7月2日の明治安田生命J1リーグ第19節・ジュビロ磐田戦でリーグ戦デビュー。昨季ルヴァンカップで公式戦には出場しているが、プロ1年目で初めてリーグ戦に出場し、充実感とともに、無得点に終わった悔しさを今後にぶつける思いを語った。

上写真=交代出場でピッチに立った棚田。リーグ戦は初めての出場だった(写真◎J.LEAGUE)

■2022年7月2日 J1リーグ第19節(@Eスタ:観衆9,969人)
広島 3-0 磐田
得点者=(広)荒木隼人、佐々木翔、森島司

「チャンスがあるかなと思って狙っていた」

 待望の瞬間は、3-0とリードして迎えた78分に訪れた。この日リーグ戦で初めてベンチ入りしていた棚田は、MF森島司との交代でピッチへ。場内アナウンスが流れると、エディオンスタジアム広島は大きな拍手に包まれた。

 サンフレッチェ広島ユース所属の高校3年生だった昨季、ルヴァンカップのグループステージ2試合に先発出場。今季もグループステージ1試合に先発出場しているが、リーグ戦は初出場だった。待望の瞬間を「ピッチに入ったときの歓声を聞いて、自分が小さい頃からあこがれていたJ1という舞台でデビューできたと、あらためて感じた」と振り返り、「やっぱりJ1はすごくて、ルヴァンカップとは違う。言葉にできないですが、すごい舞台だと思った」と初々しい笑顔を浮かべた。

 広島県広島市出身で、1990年代に柏レイソルなどで活躍したMF棚田伸は伯父。シーガル広島でサッカーを始め、ジュニアユースから広島のアカデミーでプレーしてプロになった、地元出身の生え抜きだ。

 試合に至るまでの週は「すごく調子が良くて、ドリブルもキレキレ。周りの先輩からも『調子いいね』と声を掛けてもらっていたので、チャンスがあるかなと思って狙っていた」という。試合前日の練習後に初のベンチ入りを告げられ、この日は両親がスタンドで観戦。「(試合前の)アップのとき、どこにいるか探しておいて、よく見えました」と語る状況でデビューの瞬間を迎えた。

 デビュー戦は喜びだけでなく、悔しさも味わった。85分に右からのセンタリングをハーフボレーで合わせたものの、ミートできずにボールは左へ。87分には左サイドのスペースでパスを受け、カットインから右足で狙ったが相手にブロックされ、「シュートを2本打ちましたが、(決められず)悔しいです」と厳しい表情を浮かべた。

「早くJ1でプレーしたかったので、まずデビューできたことはうれしい」としつつ、「今日のプレーには全然満足していない」ときっぱり。「ここからは結果が求められる。途中から出るだけじゃなく、スタメンも狙っていきたい。もっと練習でアピールして、もっと試合に絡んでいきたい」と決意を新たにしていた。

現地取材◎石倉利英 写真◎J.LEAGUE