上写真=小林悠は磐田戦で先発、チャンスに絡み続けた(写真◎J.LEAGUE)
脇坂泰斗の「解説」の言葉
川崎フロンターレが、どこかすっきりしない。
J1第17節、今季初の「ノルマ達成」となる5得点で北海道コンサドーレ札幌に逆転勝利した次の試合で、天皇杯3回戦でJ2の東京ヴェルディに0-1で敗れて金星を与えてしまった。続くJ1後半戦初戦の第18節でもジュビロ磐田に追いつかれて1-1と、勝ちきれなかった。
しかし、小林悠は悲観していない。
「どう攻めるかの形までは作れていると思います」
シーズンも後半戦に入って、復調の確かな兆しを感じ取る。あの圧倒的なサッカーが戻ってくるまで、あと少し。
磐田戦でそのことを身をもって示したのが、45分のシーンだ。チャナティップのスルーパスで橘田健人が左外を抜けて真横に折り返し。しかし、ボールはゴール前を通過してしまった。小林は相手の裏をかいてマイナスの場所にポジションを取って要求していて、合わなかった。
「試合後に健人と話し合いました。どっちも正解なんですよね、たまたま合わなかっただけで」
このプレーが、今後のゴール誕生へとつながる布石になる、と説明してくれたのが脇坂泰斗だったという。
「悠さんの場合は最後に動きを変えてくるから、あれが合わなかったおかげでそのことがみんなの頭に入ったと思う、と泰斗が言ってくれたんです」
「ほとんどの選手はあのシーンはファーに走るけど、悠さんは最後まで駆け引きするから、最後まで悠さんを見る選手が増えることになる、と話してくれて。だから、ミスから修正していけると思います」
その細かすぎるほど細かいすり合わせが、「圧倒的フロンターレ」の種になる。
「ビルドアップで相手陣内まで押し込むところは順調に進んでいて、これが正解だったと確信に変わるのは、ゴールを決めて勝ったときです」
その役目を、小林が負っている。
「支配すれば勝てるわけではないし、ゴールを決めるには怖いところに人が走るかボールを出すか飛び込んでいくかが大事です」
例に出した橘田の飛び出しも小林の駆け引きも、「怖いところ」を選んだ結果だ。
「カウンターにしたいのかボールを握りたいのかの選手の意識が、いままではまだボールを大事にしたい選手と、行っちゃえという選手と、考えがずれているシーンはあったのかなとは思います。でも、そこがだんだんできるようになってきて、磐田戦の前半のように押し込めるようになってきました」
次は前回対戦で1-4と大敗したセレッソ大阪戦。今度は逆のスコアで、大好きな夏のスタートを切るつもりだ。