川崎フロンターレのルーキー、松井蓮之が挑戦の日々だ。公式戦でプレーできたのはまだ3試合で、本来のアンカーではなくサイドバックとしてだが、そこでの気づきが心地よい。橘田健人、佐々木旭と同世代と競い合いながら、成長への階段を上がっている。

上写真=松井蓮之はACLでは2試合に出場。実戦の場でこそ得られる経験を大事にしている(写真◎AFC)

「アンカーがどうサポートすればやりやすいか」

 ルーキーイヤーを必死に過ごす松井蓮之は、AFCチャンピオンズリーグ2試合で左サイドバック、天皇杯2回戦の札幌大戦で右サイドバックとしてプレーした。本来のアンカーとしてではないが、実戦の経験を得ることが最優先だ。

「アンカーは練習でも少しずつやれているし、サイドバックとしては少しは評価されているのかな」

 現在地をそんなふうに表現する。自主練習ではワンタッチで横パスを縦にさばいたり逆サイドに展開したり、というメニューも組み込んでいる。

「アンカーでもサイドバックでもワンタッチは大事ですから。ウイークである攻撃面を克服したいので、パス1本の質を大切に、毎日自主練習で励んでいます」

 試合に出ることでしか得られない気づきがある。それをここまでの3試合で深く実感している。

「サイドバックをやっていると、アンカーの選手がサポートするタイミングが分かります。このタイミングでサポートすればサイドバックは楽になるんだとか、どこにポジションを取ればアンカーが機能するかを考えながらやっています」

 アンカーとして挑戦することをあきらめないものの、すべてのことから学ぼうとする姿勢はまっすぐだ。

「だから、サイドバックでプレーすることはネガティブではないし、サイドバックをやりながらアンカーがどうサポートすればやりやすいかを考えています」

 仲間たちからの貴重な意見も心強い。例えば、橘田健人。アンカーとして昨季後半から台頭し、右サイドバックでプレーすることもあったし、直近のJ1第17節北海道コンサドーレ札幌戦では左サイドバックでフル出場した。その点でも松井のお手本になるし、自主練習では一緒になってワンタッチパスの練習に励んでいた。

「1個上の先輩で優しくしてくれます。いろいろと聞いていて、オレだったらこうかな、と教えてくれます。パス1本の質が上手だし、見習うことの多い先輩とプレーできていい経験をさせてもらっています」

 サイドバックとしては、同期の佐々木旭も仲間でありライバルだ。佐々木はすでにJ1で13試合に先発する左サイドバックのレギュラー。

「ずっと試合に出ているし、中心ですよね。旭も自分の良さを出すことが大事だと言っていました。彼はメンタルが強くて、ミスを気にしないようにできるのですごいな、と。真似したいと思います」

 6月22日は天皇杯3回戦の東京ヴェルディ戦。J2とカテゴリーは下だが、特に一発勝負のカップ戦ではアップセットに気をつけなければいけない。

「J2のチームですけれど、力はあると思います。僕にチャンスがあれば、運動量や切り替えの部分でJ1として違いを見せて圧倒的な試合するために自分の良さ出しつつ、一番はチームが勝つことなので、そこに貢献できるようにしたいと思います」

 また新しい発見を求めて。松井の挑戦物語は始まったばかりだ。