ついに宮市亮がゴールスコアラーとして記録された。5月18日の明治安田生命J1リーグ第11節、横浜F・マリノスは浦和レッズとのアウェーゲームに臨み、宮市は先制点に絡むと、2点目をアシストし、30分にはついに日本での初ゴールを決めてみせた。

上写真=宮市亮がついに初ゴール! 仲間たちが一斉に駆け寄って祝福した(写真◎J.LEAGUE)

■2022年5月18日 J1リーグ第11節(埼スタ/19,425人)
浦和 3-3 横浜FM
得点者:(浦)キャスパー・ユンカー3
    (横)水沼宏太、アンデルソン・ロペス、宮市亮

「試合時間をいただけていることは何よりうれしい」

「まずは、ゴールできたことで、マリノスのサポーターにお待たせしましたと言いたいです」

 横浜F・マリノスのウインガー、宮市亮がついに日本で初めてのゴールを記録した。J1第11節の浦和レッズ戦、30分のことだった。

 その記念すべきゴールの前に、キックオフから振り返ったほうがいいだろう。

 左ウイングとして先発し、12分に右からのサイドチェンジのパスをそのままヘッド、縦のスペースに届けて小池龍太を走らせた。小池のセンタリングが逆サイドまで流れていって、最後は水沼宏太が蹴り込む先制ゴールにつながった。19分には再び左サイドで角田涼太朗から預かると、中にドリブルしながら右足で高速カーブをかけたインスイングのキック、浦和DF岩波拓也の頭を超えてその向こう側に走っていてアンデルソン・ロペスの頭に落とすハイクラスのクロスを届けて、2点目を演出した。

 そんな「宮市ショー」のクライマックスにふさわしかったのが、30分のゴールシーンだ。

 自陣で松原健が相手から奪って水沼の足に収まり、すかさず前線中央のアンデルソン・ロペスへ縦パス。これでスピードアップのスイッチが入った。宮市は左へと走り、アンデルソン・ロペスからパスを受けた。ペナルティーエリア左でDFアレクサンダー・ショルツが立ちはだかる。

 顔を上げ、周囲の状況を確認する時間があった。「そこまでにも中に行ったり縦に行ったりすることで、対面するディフェンダーは迷ってくる」と踏んだ宮市の判断は、ボール1つ分、右にずらして抜き去らずにシュート。ボールはショルツの右を抜き、GK西川周作が伸ばした左手の先へ。ピンポイントフィニッシュが決まると、自然に雄叫びがあがった。

「あの形は日頃から練習していますし、ロペスからいい形でボールが来ましたから、いいゴールだったと思います」

 チームの2点目のアシストについても「あの形は(西村)拓真やロペスと日頃から話し合っている形でした」と、同じように振り返っている。練習は嘘をつかない。ケヴィン・マスカット監督も「ここまでハードワークを続けてきて、ずっと手を抜かずに練習していました。それが今日、しっかりゴールとアシストという形で出ました」と、その真摯な姿勢をずっと見ていた。

 宮市がそれでも笑顔を浮かべることができなかったのは、もちろん、前半でほとんど完璧な試合運びで3-0とリードしながら、後半に追いつかれて3-3で引き分けたからだ。「個人的にはうれしいところではありますけど、追いつかれてしまった悔しさが残る試合になった」。それを「負けに等しい引き分け」と表現した。

「最後にこのシーズン振り返ったときに、この引き分けがあったからよかった、と言えるようになりたい」

 負けに等しいとするのはエモーショナルな部分で、事実はアウェーで勝ち点1を手にしている。1得点1アシストでそこに貢献しているし、何より今季はプレー時間を増やし、これでリーグ戦は7試合、ACLでも4試合に出場している。

「ケガを繰り返してきたキャリアで、試合時間をいただけていることは何よりうれしいです。先を見ずに1日1日でやれることをやって、チームに貢献できるように頑張っていきたい」

 ヨーロッパで苦しんできたからこそ、ピッチに立つことの価値を深く理解する。その思いがようやく結実したファーストゴール。2点目は、勝利につなげて思いきり喜びたい。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE