川崎フロンターレの守護神、チョン・ソンリョンは現在、明治安田生命J1リーグ通算で199試合に出場している。5月18日のヴィッセル神戸戦で出場すれば200試合の節目を迎えることになるが、次の1試合に集中して積み上げてきたスタイルを変えることはない。

上写真=チョン・ソンリョンはサポーターをバックにゴールを守り続けて、ついに200試合へ(写真◎J.LEAGUE)

「相手を走らせるような距離を」

 2016年に川崎フロンターレに加入してから7シーズン目。GKチョン・ソンリョンが節目の200試合出場を目前にしている。

「日本に来てから、1試合1試合が貴重でした。いま思えば時間が経つのが早かった。グラウンドに立ってプレーを見せ続けることが大事だと思ってきたので、これからもずっと最善を尽くすだけです」

 毎年、ほとんどすべての試合に出場して積み上げた199試合。鬼木達監督もプレーはもちろん、その人間性の高さもチームに与える影響が大きいと感謝して、「優勝争いをするようになったのも、そういうところが大きい」とその存在感を再確認している。

 鬼木監督もどんどんうまくなっていると感心したのが、ビルドアップについて。本人も継続して取り組んでいるポイントだ。

「相手を見ながら、パスの出しどころを1カ所だけではなくて数カ所見るように意識しています。それに、みんなが僕からのパスを受けようと準備してくれていますから」

 攻撃を最大の魅力とする川崎Fでは、GKも重要な起点。チョン・ソンリョンがどこにボールを届けるかによって、そこから先のゴールへのルートが決まると言っても過言ではない。

「前で押し込んでいるときにポジションを前に取るのはもちろんですが、後ろでポゼッションしているときに、相手がプレスに出にくい距離感を取って回すように意識しています。相手を走らせるような距離を保てるように」

 もちろん、次善の策も準備している。

「パスが出てこなければすぐに切り替えなければならないし、プレスがかかっていればかんたんに前に長いボールを出すことも大事です。そこは意識していますし、ずっと勉強です」

 目的はあくまでどうやって相手ゴールを陥れるかだから、無理にでも後ろで回すことが狙いになってはいけない。つまり、メリハリだ。

 200試合目の相手は、ヴィッセル神戸。J1ではようやく前節で初勝利を挙げたが、それだけにパワーがある。

「もともとクオリティーは高いチームだし、鳥栖に勝って勢いが出ていると思います。ビルドアップもポゼッションもうまいですから、注意しなければならない」

 こちらはリーグ3試合連続無失点中。前節のアビスパ福岡戦では至近距離からのシュートに反応するビッグセーブも見せた。だが、チョン・ソンリョンは「攻撃の選手も含めて全員が守備にハードワークしてくれる」と話して仲間に全幅の信頼を寄せる。これまでの199試合と同様に、次の1試合でも継続するだけだ。