明治安田生命J1リーグの第13節が13日に行われ、浦和レッズとサンフレッチェ広島が対戦した。金曜日のナイトゲームとしても、スタイルの異なるチーム同士の対戦という点でも注目された試合は、時に『持ち味』を入れ替えながら最後までゴールを目指す白熱のドローに終わった。

上写真=浦和の馬渡和彰と広島の満田誠が争う(写真◎J.LEAGUE)

■2022年5月13日 明治安田生命J1リーグ第13節(@埼玉スタ/観衆16,030人)
浦和 0-0 広島

浦和にとっては悔しい5試合連続ドロー

 積極的にハイプレスを仕掛ける広島に対し、浦和はそれをかわして背後をとっていく。ボールを奪うか、つなぐか。浦和はつなぐことに特徴を持ち、今季の広島は激しくボールを狩ることに持ち味がある。だが、双方のチームスタイルがぶつかり合ったかと思うと、局面によってはそのスタイルが入れ替わった。浦和はハイプレスでボール奪取を狙い、広島がパスワークでいなして、ボールを前進させてみせたのだ。
 
 前半から攻守の切り替えが早く、ハイテンポで、互いにゴールへの意欲を示す好ゲームを展開。守備の局面でも『攻めるように守る』両チームの持ち味が出た。浦和は14分、馬渡が決めた直接FKはVARを経てオフサイドの判定。広島は27分、満田が対峙する岩波のタイミングを外して狙ったシュートはポストに直撃するも決まらなかった。

 チャンスの数は多くなかったが、引き締まった45分間を終えて迎えた後半、広島が先に動く。ベン・カリファに代えて松本を投入。アンカーを務めていた野津田とドイスボランチを組み、それに伴い前線も1トップ+2シャドーに変更した。だが、最初にビッグチャンスをつかんだのは浦和の方だった。

 56分、センターサークル内で後方からのボールを収めたシャルクが倒されてFKを得ると、素早いリスタートを実践。関根へとつなぎ、広島守備陣が戻り切れていない中、右側を並走するモーベルグへラストパスを送った。決定的な場面。ボックス内で佐々木をかわしてシュートを放った。しかし、この場面は広島のGK大迫の鋭い反応がまさる。ビッグセーブで、シュートを防がれてしまう。

 72分にもビッグチャンスをつかんだ。自陣からプレスをかわしてボールを前進させると、ユンカーのフリックから一気に攻め入り、最後は再びユンカーがシュート。しかしこれまた大迫の好守に遭って、ネットを揺らすことはできなかった。

 終盤、雨が強くなる中で今季初めてベンチスタートになった江坂がミドルシュートを放つなど、浦和はその後も惜しいシーンを生み出した。一方で広島も79分に右サイドを攻略し、クロスに対してドンピシャのタイミングで柏が飛び込んだものの、ボレーは枠をとらえられなかった。

 試合はそのままスコアレスドローで終了。ただゴールこそ生まれなかったが、徹頭徹尾、奪う姿勢と攻める意識を感じさせる白熱のゲームになった。

 両指揮官は試合後、こう語っている。

「前半は良いプレーができていたと思う。試合を支配すること、シュートの局面まで持っていけたこと。ただ最後の質が欠けてしまった。焦りも出た。難しい相手というのもありますが、後半は相手も形を変えてきて、その中で相手が上回っていたという印象がある」

 浦和のリカルド・ロドリゲス監督は、前半の内容を評価しながらも後半は相手の上回られたと話した。これでリーグ戦は5試合連続ドローという悔しい結果になった。得点がなかなか生まれず、3試合ノーゴール続いていることについては「最後の質の部分。今日は焦りやミスが出た」と語った。

「この1ポイントにはすごく満足しています。良いパフォーマンスを見せたと思っています。Jリーグの試合の中でもかなりレベルの高い試合だったのではないかと思います。残念ながら点は取れませんでしたが、両チームともシュートの多い、良いゲームでした」

 対する広島のミヒャエル・スキッベ監督は価値ある1ポイントであると強調。「レベルの高い2チームが競い合った良い試合」だとも振り返った。

◆出場記録
・浦和メンバー:GK西川周作、DF馬渡和彰、岩波拓也、アレクサンダー・ショルツ、明本考浩、MFダヴィド・モーベルグ、伊藤敦樹(74分:柴戸海)、平野佑一、関根貴大(60分:江坂任)、小泉佳穂(74分:松尾佑介)、FWアレックス・シャルク(60分:キャスパー・ユンカー)

・広島メンバー:GK大迫敬介、DF塩谷司、荒木隼人、佐々木翔、MF藤井智也、野津田岳人、柏好文、森島司(84分:柴崎晃誠)、満田誠(84分:浅野雄也)、FWナッシム・ベン・カリファ(46分:松本泰志)、ジュニオール・サントス(90分:永井龍)